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社説

伊調選手へのパワハラ認定 協会は旧体質から脱却を

 女子レスリングで五輪4連覇を果たし、国民栄誉賞を受賞した伊調馨選手に対し、パワーハラスメントがあったことが認定された。日本レスリング協会から調査を委託された弁護士の認定によるものだ。

     パワハラを行ったとされるのは、同協会強化本部長を務めていた栄和人氏だ。伊調選手は高校入学を機に栄氏の指導を受けるようになった。その後、選手として実績を重ねたが、栄氏の意識は古い主従関係にとどまっていたようだ。

     調査報告書では、「よく俺の前でレスリングができるな」という発言などがパワハラと認定された。栄氏が指導する至学館大(愛知県)から、伊調選手が東京に拠点を移した後に始まっている。

     伊調選手が栄氏の元を離れたのは20代半ばである。成人女性の意思であり、指導者だからといって抑え込むことはできない。教え子を抱え込もうとする意識がパワハラ発言につながったように思える。

     栄氏の女子レスリング界での功績は大きく、伊調選手をはじめ五輪メダリストを輩出している。

     指導者と選手は本来、人格的に対等な立場にある。そのうえで選手の成長にどう寄与できるかが指導者に求められる資質だ。世界トップの選手を扱うのなら、なおさらだ。

     2010年アジア大会の選考基準を満たしていたにもかかわらず、伊調選手が代表漏れしたこともパワハラと認定された。この点では、強化や代表選考の権限が集中した栄氏を放任した協会の責任が大きい。

     栄氏は、協会では代表選手を強化する立場にある一方、特定大学の監督でもあった。これでは代表選考での公平性が疑われることにもなる。

     告発があった時点で、協会の福田富昭会長はパワハラを否定した。しかし、調査結果を受けて栄氏は強化本部長を辞した。また、福田会長は「相当古くから存在して、こういう問題が起きた」と修正した。パワハラへの認識が希薄に過ぎたのだ。

     柔道界では13年、五輪女子代表らから暴力やパワハラの告発があった際、体制を刷新し出直しを図った。

     協会には公益通報制度があるが、選手やコーチは適用外という課題もある。協会は再発防止への対策を急ぎ、古い体質から脱却すべきだ。

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