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読書日記

著者のことば 遠藤雅司さん 史料と想像力で再現

 ■英雄たちの食卓 遠藤雅司(えんどう・まさし)さん 宝島社・1836円

     ラムセス2世は蜂蜜パンを食べて合戦に備え、クレオパトラ7世はモロヘイヤスープを宴席に出してカエサルを誘惑した。世界史に登場する偉人たちは何を食べていたのか。料理に焦点を当て、英雄たちの新たな横顔を浮かび上がらせた。

     「歴史の教科書では、何々の戦いに勝ったとか負けたとか、1、2行の記述で終わってしまいがち。強い、偉い以外の魅力が伝わってきません。しかし今も昔も、食事は誰もがします。食を通して、その人物の特徴が垣間見られるのです」

     大王とあがめられたアレクサンドロス3世は「史料によっては、ひどい絡み酒をする人物」で、口論の末、側近将校をやりで刺し殺したという。また、ぜいたく好きなイメージのあるマリー・アントワネットは「キャベツを煮込んだ簡素なドイツ風のスープを私室で食べたがった」とのエピソードが残っている。

     しかし、実際に当時の料理を再現するのは簡単ではない。「何を食べた、どういった料理が出てきたという間接的な史料はあるのですが、いわゆるレシピを記した直接資料はほとんどありません。苦心しました」と振り返る。

     ただ、例えば古代のエジプト料理であれば、現代の食文化に近いものがあるとされる。そこで、トマトやジャガイモなど現代のエジプト料理に使われていても、当時はエジプトになかった食材を引き算して再現を図ったという。「想像力は使っていますが、うそはついていません」

     ロムルスが口にしたかもしれない「王政ローマ風カブ煮込み」といったシンプルな料理もあれば、マリア・テレジアが愛したパイ風ケーキ「ミルヒラーム・シュトゥルーデル」のような高級そうなデザートも紹介される。だが、レストランではなく、いずれも現代の日本の家庭で調理可能であることを意識してレシピを作成した。「お手軽にできる料理も、ちょっと暇な時にがんばって作ってもらえるような料理もあります」と、まずは本書を片手に包丁を握ってみることを勧める。「サラダやスープ、メインディッシュ、そしてデザートまで作ってみれば、時代を超えたフルコースが実現します」<文と写真・広瀬登>

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