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炎のなかへ

/129 アンディ・タケシの東京大空襲 石田衣良 望月ミネタロウ・画

三月九日(33)

 時田メリヤスのガラス戸を開けると、正面にいとこの登美子が立っていた。

「遅いよ、タケシくん。今日はせっかくの早上がりだったのに。どこ寄り道してたの」

 登美子とは朝夕はいっしょに通っていないけれど、同じ極光通信で勤労奉仕をしていた。すこし伸びたおかっぱの髪はきちんとくしを入れられているようだ。朝よりも髪型が決まっている。組の友人たちから当の登美子との楽天地いきを難詰されていたとはいえずに、適当にごまかした。

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