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社説

2期目に入った黒田日銀 独立性の信念が試される

 戦時立法として制定された旧日銀法が、近代国家にふさわしい今の日銀法に変わり、20年がたった。

     「国家経済総力の適切なる発揮を図るため国家の政策に即し」業務を行う--。旧法にある日銀の目的は、国家統制色の濃いものだった。

     一方、新日銀法は「自主性の尊重」という表現で、金融政策の政府からの独立を盛り込んだ。国内外からの政治圧力により利上げが遅れ、バブルを招いたことへの反省がある。

     その新日銀法20年の節目に、黒田東彦総裁が2期目に入った。改めて、法改正の精神はどこへ行ったかと問わずにはいられない。

     黒田日銀の異次元緩和は、アベノミクス「三本の矢」の1本目として、国家の政策の中枢に組み込まれた。「2%」の物価上昇を目指し、大量の国債ばかりか株式や不動産まで買う、なりふり構わぬものだった。

     黒田総裁2期目の辞令交付にあたり、安倍晋三首相は、三本の矢を「さらに強化していく必要がある」と述べている。来年秋の消費増税を念頭に置いた発言だが、異次元緩和の正常化にクギを刺すものだろう。独立性が法律の字面ではなく、担い手の信念の問題だということが、この先一段と鮮明になりそうだ。

     「物価の安定を図ることを通じて国民経済の健全な発展に資する」。新日銀法が掲げる理念だ。確かにデフレを止めることも「物価の安定」上、重要だろう。だが、独立性について記述した日銀のホームページには、「中央銀行の金融政策にはインフレ的な経済運営を求める圧力がかかりやすい」とある。政治的圧力から過度のインフレを招くことのないよう付与したのが独立性だった。

     2%の物価目標にがんじがらめとなり、バブルや財政破綻で国民経済を大混乱に導いては元も子もない。

     その高い独立性から「世界最強の中央銀行」とも呼ばれたのは、ドイツ連邦銀行(ブンデスバンク)だった。政府に公然と異議を唱え、総裁が辞任したこともある。

     コール元独首相はこう述べている。「首相としては、ブンデスバンクと相いれないことがあるが、一市民としては、存在を喜ばしく思う」。政治家にそう言わしめる中央銀行と、そう言い切れる政治家の両方が求められている。

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