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社説

公取委のフリーランス見解 業界の意識改革が必要だ

 多くの業界でまかり通っている「上下関係」の見直しを迫る、新たな動きと言えそうだ。

     企業などと雇用契約を結ぶのではなく、個人として働くフリーランスについて、公正取引委員会の有識者検討会が、独占禁止法の適用対象となり得るという見解を示した。近く、国民への周知を始める。

     企業側による移籍制限や引き抜き防止、過度な秘密保持義務の強要などが、競争を阻害するとして独禁法に抵触する恐れがあると判断した。

     これにより、独禁法を支えにフリーランスの権利保護が可能になる。

     個人の働き方が多様化し、プログラマーやライター、アニメーターなどフリーランスの職種は幅広い。推計1000万人超といわれるまで急増した。

     専門性の高い人材の獲得競争が活発になる一方、優秀な人材の囲い込みや企業側による不利な条件の押しつけなどが問題化している。

     独禁法の適用対象になれば、個人が企業などと民事訴訟で争う際の根拠になり、問題解決促進の後押しにもなるだろう。

     フリーランスをめぐっては、芸能人やスポーツ選手などが、移籍や事務所からの独立時にトラブルになるなど、近年、社会的な問題にもなっている。

     見解を受け、芸能プロダクション団体が、事務所と所属芸能人との契約書のひな型にあった移籍制限の条項の見直しを始めた。日本ラグビー協会も「前所属先の承諾がない場合、移籍先での選手登録を1年間認めない」というトップリーグの現行ルールを撤廃する。

     業界の長年の取引慣行など個別事情への考慮も必要だろう。だが、働き方の見直しがうたわれるなか、業界側の意識改革も不可欠だ。

     企業に対し立場が弱く、待遇面での交渉がしにくいフリーランスにしわ寄せがいくようなことがあってはならない。

     公正で自由な人材獲得競争は、人材の適材適所の配置を実現する。それによって消費者が享受する利益やサービス向上にも寄与するはずだ。

     公取委は見解を「議論の第1ステップ」と位置付ける。働く者が能力を十分に発揮できる環境作りへの契機にすべきである。

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