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社説

混迷深まる「政と官」 不都合な事実隠したツケ

 まるで泥沼の様相だ。森友学園や加計学園問題、自衛隊イラク派遣の日報問題等々をめぐって連日のように新事実が発覚している。

     きのうは加計問題に関し、2015年4月、当時の首相秘書官が愛媛県側などに「首相案件」と発言したと記録した文書が農林水産省にもあったことが確認された。対応は全て後手に回っており、政府のガバナンス(統治)は危機的状況にある。

     なぜこんな事態に陥ったのか。いずれも問題発覚後、きちんと調査もせずに安倍政権に不都合な事実を強引に否定しようとしてきたからだ。そのツケが一気に回ってきている。

     例えば加計問題だ。安倍晋三首相は官邸の関与を疑うなら証拠を出せと言ってきた。ところが重要証拠と思われる愛媛県の文書が見つかると、今度は「国としてコメントする立場にない」と国会で答弁する。

     これでは事実確認が進むはずがない。そもそも議論の大前提となる事実が認定できないこと自体、行政機能に欠陥があると言うべきだ。

     森友問題は首相がいきなり妻昭恵氏らの関与を強く否定するところから始まった。だが、その後も関与の疑いは晴れず、首相答弁とのつじつま合わせのために財務省は決裁文書を改ざんしたのではないかとの疑問も消えないままだ。

     裁量労働制を違法適用したとして東京労働局が特別指導した野村不動産の問題も同じだ。同社社員が特別指導前に過労死し、労災認定を受けていた事実が報道された後も、厚生労働省はそれをしばらく認めようとしなかった。これも働き方改革関連法案の成立に不利になると政治的な配慮をしたからだろう。

     安倍政権は官僚の幹部人事を官邸が取り仕切ることで各省に強い影響力を行使してきた。官僚が首相らにおもねる「政と官」のいびつな関係はさらに深刻になり、官僚の政治化、つまり官僚が立場を踏み外して政治と一体になる兆しがある。国会で質問する野党議員に対し、首相秘書官がヤジを飛ばしたのが象徴的だ。

     国会は事実確認に集中せざるを得ない状態になっている。自民党からも「挙証責任は政府側にある」との声が出始めているのは当然だろう。泥沼から抜け出すには、まず首相が根本的に姿勢を改めることだ。

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