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5G

米中の覇権争い激化 AIや自動運転車で

 次世代移動通信システム「5G」をめぐる米中両国の覇権争いが激しくなってきた。超高速通信が可能な5Gは人工知能(AI)や自動運転車の開発に不可欠とされ、今後の産業競争力や安全保障を左右するだけに、両者とも一歩も引く気配はない。米連邦通信委員会(FCC)は17日、中国製通信機器を米市場から事実上締め出すかどうかを検討する会合を開く予定で、米中の新たな火種になりかねない。【ワシントン清水憲司、北京・赤間清広】

     FCCが検討するのは、5G通信網の構築にあたり中国製通信機器には補助金を支給せず、使用を事実上禁止する規制の導入だ。資金不足に悩む中小通信会社は、安価な中国製品の使用を検討中とされる。これに対し米情報機関は「華為技術(ファーウェイ)など中国勢は、中国政府からスパイ活動への協力を求められた場合に断れない」とみており、FCCのパイ委員長は「政府・業界横断的な行動をとらねばならない」と理解を求める。

     強硬策の背景にあるのは、中国が通信技術で米国を脅かすほど力をつけていることだ。米情報技術・イノベーション財団によると、5G関連特許件数は、米半導体大手クアルコムが全体の15%を占めて首位だが、ファーウェイなど中国勢も計10%に迫る。トランプ米大統領が3月、シンガポール拠点の同業ブロードコムによるクアルコム買収を阻止したのは、5G技術の流出を懸念したためだ。

     通信機器は、現行の4Gでも中国製品の存在感が大きい。米メディアによると、トランプ政権内では一時、安全保障上の懸念から、政府主導による5G通信網整備が浮上したほどだ。

     ただし官民あげて5Gの覇権を狙う中国の勢いを止めるのは容易ではない。中国国営新華社通信によると、中国は北京市内に世界最大の5G試験地域を設定し、関連技術を集積している。年内にも固まる5Gの国際標準規格でも「中国が主導権を握りつつある」(中国通信関係者)のが実情だ。

     中国は3G、4Gの開発では先進国の後塵(こうじん)を拝してきた。最先端分野で世界をリードする「製造強国」の実現を掲げる中国にとって、次世代産業の核心技術となる5Gは戦略的にも極めて重要な存在だ。李克強首相は今年3月の全国人民代表大会(全人代=国会)で、「製造強国づくり加速」の重点分野として5Gに言及した。

     中国の5G試験導入は最終段階に入っており、2020年前後に商業利用を本格化する計画だ。5Gが世界に定着する25年には世界の5G接続数の約4割を中国が握るとの予測もあり、世界の5G市場で中国は圧倒的な存在感を持つことになる。

     半面、中国の台頭は米国の警戒感をさらに刺激する結果をももたらす。5Gをめぐる覇権争いの過熱は、通商問題で生じた両国の緊張をさらに高めかねない。

     【ことば】5G

     次世代移動通信システムで、5Gは「第5世代」の意味。ほぼ10年ごとに一新されてきた。3Gでデータ通信が始まり、現行の4Gでスマートフォンを通じたインターネット利用が可能になった。5Gは4Gの20~50倍の通信速度と消費電力の低減が見込まれ、街中のあらゆるモノにセンサーを取り付け、ネットに接続することが可能になる。米大手通信各社は機能限定の5Gサービスを年内に始める。中国は少し遅れるが、完全な5G通信網の構築を目指すとされる。

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