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ひと@あいち

花酵母で日本酒開発 小栗宏次さん(57) /愛知

「愛してる」で地域おこし

 自宅の庭に咲く白モッコウバラの花酵母を使い、地元酒造メーカーの協力で日本酒商品「愛してる」を開発した愛知県立大情報科学部教授、小栗宏次さん(57)=半田市中村町。「愛してる」は2017年度優良ふるさと食品中央コンクールで農林水産大臣賞を受賞した。「ふるさとの伝統と文化が融合した酒」と話す小栗さんは「愛してる」を核に、地域おこしに力を注いでいる。

     小栗さんは、みそやしょうゆなどの醸造業で栄えた「萬三商店」を営んでいた小栗家の14代当主。30歳で400年続く旧家の小栗家に婿入りし、明治初期の建築といわれる母屋(国の登録有形文化財)で生活を始めた。

     庭にあるのが、通称「萬三の白モッコウバラ」。毎年、春になると白い花を咲かせ、街に甘い香りを漂わせる。樹齢約150年。幹回りは約60センチでハート形に曲がっているのが特徴で、市の天然記念物にも指定されている。

     小栗さんは東京農業大が花酵母で日本酒を造る技術を開発したことを知り、自宅のモッコウバラが活用できないかと考えた。蔵から出てきた古文書には、小栗家が1713年に酒造りを始めたことが記されており、2013年発売を目指し、12年から花酵母酒造りに取り組み、2年遅れの15年に完成した。

     バラの香りがするフルーティーな味わいが特徴で、歴史のある旧家の庭の花と、伝統の酒造文化が融合した酒となった。商品名は、春になったら両親や恋人、仲間に「愛してる」と伝えてほしいとの願いを込めて名付けた。人口減少時代を迎え、街が生き延びていくのは大変な時代になる。そんな中で、小栗さんは地元産品などを通じて街の魅力を伝えることが大切だと感じている。

     「『愛してる』は『おもてなし』や『もったいない』と同じように、日本人の心がこもった言葉だと思う」と小栗さん。文化財は見ているだけでなく、活用してこそ意味があると、これまで地元の人たちと協力してバラ祭りの開催やハート形の菓子開発にも取り組んできた。花が咲く春は、江戸時代から続く山車祭りの時期とも重なる。「愛してる」などを通じて地域の伝統と文化にストーリー性を持たせ、世界にアピールするのが小栗さんのこれからの夢だ。【林幹洋】


     ■人物略歴

    おぐり・こうじ

     1960年、名古屋市生まれ。名古屋工業大大学院博士課程修了。専門は人工知能(AI)や知的情報処理などのコンピューター・サイエンス。21~30日には小栗家住宅の庭を開放して「萬三の白モッコウバラ祭」を開催する。「愛してる」の販売などを行う。

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