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となりのファーマー

/25 桃竹農園(京都府京田辺市) ゆったり竹林で甘みと香り

直売所で朝掘りタケノコを売る芝裕一さん、光枝さん夫妻=京都府京田辺市で、松井宏員撮影

 旬のタケノコ。近畿の名産地といえば京都だ。春の味覚を求めて京田辺市へ向かった。

     一休さんが晩年を過ごした一休寺近くの山手幹線沿いに、桃竹(とうちく)農園の直売所がある。訪ねた3月30日が今期のオープン初日。午前6時から掘ったばかりのタケノコが並んでいた。初物を待ちかねた人たちが早速買っていく。発送を頼んでいた男性は「ここのは全然違います。えぐみがなくて甘い。贈り物に一番です」。

    土中から掘り出した白子(右)は穂先が黄色く、土から顔を出していた方は緑色=京都府京田辺市で、松井宏員撮影

     芝裕一さん(76)が大ぶりのタケノコを手に取って説明してくれる。「全体に白っぽくて、先が黄色で十文字に割れてるでしょう。こういうのを白子(しろこ)といって、いいんです。土の中にいたやつなんで」。地面から顔を出してるのを掘るイメージがあったが、それではダメなのだそうだ。もう1本手に取ったタケノコの先は、濃い緑色。「土から出て空気に触れたのがこうなります。同じ畑なんで、味はそんなに変わらんけど」。タケノコの大敵は乾燥。この冬に取材したレンコンと同じく、地中を探して掘り出すのだ。

     販売担当の妻光枝さんが、生のタケノコを食べさせてくれた。普通はえぐみがあって、生では食べられないはずだが、香り豊かで生でも十分いける。

     芝さんに畑に案内してもらった。そこらの竹林とは全然違う。約1・5メートル間隔でゆったりと竹が生えている。タケノコは竹の地下茎から生えてくる芽だから、根を育ちやすくしているのだ。竹林は薄暗いものだが、太陽光もよく差し込む。

     なにより土が軟らかい。「粘土質が混じったええ土なんです。空気を遮断して、タケノコが上がってきやすい」。良質の土を育てるには、冬場の土入れが欠かせない。畑の小高い場所から取った土を低い部分にかぶせるのだ。こうすることで保水と保温の効果を高める。約3000平方メートルの畑は、知り合いに頼まれて買った元は茶畑の竹やぶ。ほったらかしていたのを、約25年前に竹を伐採し、土を入れて育ててきた。さらに年3回、肥料をやり、10年ちょっとたった竹は伐採し、季節ごとに下草取りなどの手入れも欠かせない。

    地面の棒は翌日、掘る場所の目印=京都府京田辺市で、松井宏員撮影

     いよいよタケノコ掘りを見せてもらう。所々に棒が突き刺してある。「地面のひび割れてる所を探して、あした掘る目印をつけてあるんです」。十字のひび割れの下には黄色の穂先が隠れている。朝なら露が降りている。

    「ほり」と呼ばれる専用の道具でタケノコを掘り起こす=京都府京田辺市で、松井宏員撮影

     ざっと土を除いたら、根の場所を見極める。穂先が傾いている方に根があるから、「ほかの所をなんぼつついてもダメ」。「ほり」というL字形の鉄棒のような専用の道具で土中を突いて根を切り、てこの原理で掘り起こす。簡単に見えるが、タケノコを傷付けたら売り物にならない。熟練の技だ。芝さんは4月いっぱいのシーズン中、タケノコ掘り名人にアルバイトに来てもらっている。

     「手がかかってしんどいけど、米より(収入が)いいですよ」と顔をほころばせる芝さん、味には絶対の自信を持っている。休耕田を出さないために地域で田んぼを守ろうと「岡村アグリ倶楽部」をつくり、減農薬で栄養価が高い「隼人米」と名付けた米を生産・販売している。「農業は絶やしたらあかん」という一念だ。<文・写真 松井宏員、タイトルイラスト・布川侑己>=第3火曜掲載

     ◆農園メモ

    桃竹農園

    桃竹農園直売所(京都府京田辺市)

     桃竹農園のタケノコ直売所は、京田辺市薪泥々。午前9時から売り切れまで。電話は芝さんの携帯(090・2199・1303)。大1キロ2500円・中1キロ2000円・小1キロ1000円(米ぬか付き)。発送もできる。4月いっぱいの予定。

     ◆桃竹農園のお薦めレシピ

    ステーキなど

    タケノコご飯のおにぎり(右)と天ぷら=京都府京田辺市で、松井宏員撮影

     光枝さんが作ってくれたタケノコご飯のおにぎりと天ぷらをいただいた。揚げとタケノコだけのシンプルなご飯は風味豊か。天ぷらはサクサクで、甘みを堪能できる。「タケノコは時間勝負」と光枝さん。「掘ったその日のうちにゆでると甘みと香りがあって軟らかくて、お刺し身でいけます」

     皮をむいたタケノコは、鍋に水と米ぬかと一緒に入れて、沸騰してから30分ゆでてさましたら水洗いする。それを薄く切った刺し身はわさびじょうゆで。タケノコ本来の味が広がる。光枝さんお薦めはステーキ。分厚く切ったタケノコに塩・コショウをして、とろけるチーズを乗せてバターで焼くだけ。

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