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「いわれある差別」は許すのか=粥川準二(科学ライター)

 ネット上では「福島差別論」がずっと議論されている。たとえば「福島の人が他県の相手と結婚しようとしたら、相手側の家族が反対して破談になった」というような話を耳にする。事実だとしたら間違いなく悲しいことだ。これに対して「広島や長崎では遺伝的な影響は確認されていない」という科学的事実を持ち出し、「こういう差別は許せない」と批判する人たちがいる。また原発事故直後から「福島では先天障害や遺伝病が多発している」と(もっと差別的な表現で)言う人たちがいて、彼らに対しても同じような論理で批判する人たちがいた。 

     つまり「いわれのない差別はやめろ」ということだ。しかし疑問がわいてくる。「いわれのある差別」ならしてもいいのか。

     たとえばある種の遺伝病患者やその家族たちとの結婚をやめさせることは問題ないのか。彼らは現実に原因遺伝子を抱えており、それを次世代に伝える可能性があることははっきりしている。だから「いわれ」があるということで、結婚の制限や出生前診断などを強要してもいいか。

     違うだろう。障害者差別や優生思想を克服しようとしている私たちは、原因に関係なく、どんな遺伝病や先天障害の子どもが生まれても受け入れることを、少なくとも努力すべきではないか。もちろん個人や家族のレベルではなく、社会のレベルで。

     子どもが福島県民と結婚することを認めない家族も、それを差別だと批判的に言及する者たちも、遺伝病や先天障害を「あってはならないもの」だとする前提は共有している。

     その前提から疑うべきだ。


     林英一、古川勝久、山内マリコ、粥川準二、小田島恒志の各氏が交代で執筆、毎週水曜日に掲載します。

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