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社説

計4時間の日米首脳会談 非核化へたゆまぬ連携を

 訪米した安倍晋三首相とトランプ米大統領が2日にわたり計4時間会談した。夕食やゴルフを含めると共にした時間は約10時間に及んだ。

     多くの時間を割いたのは、6月初旬までに予定される米朝首脳会談に備えた認識のすり合わせだ。

     米国が北朝鮮に核・ミサイルを「完全かつ検証可能で不可逆的な方法」で廃棄し、それに向けた具体的な行動を求めることを確認した。

     首相は記者会見で「北朝鮮が対話に応じるだけで、見返りを与えるべきではない」と述べ、トランプ氏は「北朝鮮が非核化されるまで最大限の圧力をかけ続ける」と語った。

     対話は進めても警戒は怠らない。日米の明確なスタンスを世界に示したといえよう。

    対話に周到な準備必要

     会談でトランプ氏は「日本にとって最善となるようベストを尽くす」と語った。日本が射程に入る短・中距離弾道ミサイルの脅威に懸念を示し、「あらゆる弾道ミサイルの放棄が必要だ」という認識を確認した。

     日本人拉致問題についても米朝会談で取り上げる意向を示し「早期の解決を働きかける」と約束した。

     ただし、会談でトランプ氏に働きかけたことが、米朝会談でどこまで効果をもたらすかは不透明だ。

     北朝鮮が米朝2国間の問題に加えすべてのミサイル廃棄や日本人拉致問題の解決を議題とすることに反発することも予想される。

     協議が行き詰まれば、米国がそれらを後回しにして交渉を前に進める可能性は否定できない。

     南北間では休戦状態にある朝鮮戦争の「終戦宣言」を出すことも検討されているという。トランプ氏も前向きな姿勢を示している。

     国家間の緊張が緩和しても、軍事的脅威が継続したままでは安定とはほど遠い。北朝鮮が在韓米軍の撤退を求める材料に使う懸念もある。

     北朝鮮は過去、核放棄を約束し経済支援を受けながら陰では核開発を続け国際社会を欺いてきた。

     トランプ氏は「今は対話のときだ」と述べたが、再び時間稼ぎをしないか見極める必要がある。北朝鮮に向き合うには周到さが求められる。

     北朝鮮問題に長く携わる首相がそれをトランプ氏に説き、理解してもらうことができたかどうかは、今回の訪米の成否にもかかわる。

     北朝鮮が「非核化」に応じても、完全な核・ミサイル廃棄をどう実現するのかは大きな課題だ。核施設を解体しても、再び核開発できないような仕組みをつくるのは難しい。

     こうした問題に引き続き取り組むためにも、日本は米国との連携を絶やさず、北朝鮮問題に関与していかなければならない。

     もとより、拉致は日本固有の問題だ。日本が独自に活路を開き、北朝鮮と交渉するしか解決の道はない。

     北朝鮮と中国、韓国、米国との個別の首脳会談が続き、日本が取り残されるという懸念もある。

     将来的には6カ国協議の枠組みを再構築することも含め、日本が積極的に関わることが重要だ。

    通商対立の波及避けよ

     通商分野では茂木敏充経済再生担当相とライトハイザー米通商代表部代表による閣僚級の貿易協議開始で合意したが、日米の思惑は異なる。

     この場で日本は、多国間の自由貿易の枠組みである環太平洋パートナーシップ協定(TPP)に米国の復帰を促したい意向だ。

     一方、トランプ氏は対日貿易赤字問題で市場開放を迫る「取引」の場として活用し、米国に有利な2国間交渉に持ち込む狙いがあるようだ。

     米国による鉄鋼などの輸入制限を巡り、首相は日本の除外を求めたが、トランプ氏は協議で合意に達しない限り除外に応じない考えを示唆した。輸入制限という強硬な保護主義政策を突きつけたままにして、日本の譲歩を引き出したいのだろう。

     トランプ氏は、秋の中間選挙に向けた成果を勝ち取るため「米国第一」をむき出しにして対日圧力を強めてくる可能性もある。

     しかし、トランプ氏が主張する農業市場開放は日本がTPPで既に約束している。一方的に離脱したのはトランプ政権だ。

     米国の輸入制限は世界貿易機関(WTO)のルールに違反する疑いがある。日本は取引には応じず、輸入制限の撤回を迫る必要がある。

     留意すべきは、こうした対立が北朝鮮問題に飛び火することだ。日米連携に影響がないよう米政府には冷静な対応を求めたい。

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