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社説

夫婦別姓で相次ぐ訴え 選べぬ不自由さいつまで

 結婚する男女が同じ姓を名乗らなければならない状況はいつまで続くのだろうか。夫婦別姓を選択できないことに疑問を投げかける訴えが今年、相次いでいる。

     ソフトウエア開発会社の男性社長は、夫婦別姓を選べない法制度は憲法に違反するとして、国に損害賠償を求め、東京地裁に提訴した。

     社長は妻の姓を選択した。仕事では旧姓を使うが、取引や国外出張で手間がかかり、企業経営の足かせになっていると口頭弁論で訴えた。

     別の訴えも起きた。事実婚の夫婦4組が、別姓の婚姻届の受理を求めて家裁に審判を申し立てた。

     ともに大学教員として論文を書いてきた夫婦は、研究の継続性から名前の変更を望まず、事実婚を余儀なくされた。別姓を認めない規定が、法律婚の制約要因となっている。

     こうした訴えは決して特殊なケースではない。高齢世帯を除く共働き世帯の割合は約6割に上る。結婚で名字が変わることに「違和感を持つ」人は、世論調査で2割超だ。社会の変化に伴い、別姓を選べない現状に不都合を感じる人は増えている。

     最高裁は2015年、婚姻時に夫婦どちらかの姓を名乗るよう定める民法の規定を合憲とした。

     ただし、一枚岩の判断ではなく、15人の裁判官のうち女性裁判官3人全員を含む5人が憲法違反の意見だった。さらに、選択的夫婦別姓の導入について、最高裁は国会での議論を促した。今もって立法府が動こうとしないのは残念だ。

     結婚の形は多様化している。

     別姓反対派は、別姓を容認すれば家族の絆を損なうと主張する。だが、日本以外に夫婦同姓を義務づける国はない。外国には家族の絆がないとは言えまい。

     政府は国家公務員の旧姓使用を大幅に認め、民間を含め社会全体で旧姓使用の拡大を図っている。

     だが、多くの国家資格は今も戸籍の姓で登録される。パスポートや銀行口座も戸籍の姓が原則だ。二つの姓を使い分ける煩雑さを大勢の当事者が訴えている。旧姓使用の拡大は、根本的な解決にはならない。

     選択的夫婦別姓制度は、同姓の選択も自由だ。選べない不自由さの解消を図りたい。国会はこの問題を放置せず議論していくべきだ。

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