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対立深まる米露関係

 シリアのアサド政権が化学兵器を使用したとして、米国が英国、フランスとともにシリアの関連施設を攻撃してから21日(日本時間)で1週間が過ぎた。アサド政権の後ろ盾のロシアが化学兵器の使用そのものを否定する中、米国はロシアへの強硬姿勢を強めており、米露の関係修復は極めて難しくなっている。【トロント高本耕太、モスクワ大前仁】

     マティス米国防長官は20日、国防総省での日米防衛相会談の冒頭、シリアの化学兵器関連施設に対する攻撃は国際社会の「完全な支持があった」と強調。アサド政権がそれを無視すれば「対処する用意がある」と述べ、再度の軍事攻撃があり得ることを示唆した。

    化学兵器使用とみられる攻撃後、シリアのアサド政権が制圧した首都ダマスカス近郊の東グータ地区ドゥーマ。路上にシリア国旗が掲げられていた=4月20日、ロイター

     また対露強硬姿勢で知られ、今月着任したボルトン米大統領補佐官(国家安全保障問題担当)は19日、アントノフ駐米露大使と初会談。ロシアによる米大統領選介入疑惑や3月の英国で起きたロシア元情報機関員の暗殺未遂事件に触れ、「ロシアは我々の懸念に対処すべきだ」と迫った。

     政権の対露強硬姿勢とは裏腹に、トランプ大統領に関しては、プーチン露大統領に対峙(たいじ)しない姿勢や大統領選での自陣営とロシアとの癒着疑惑が影響し、「弱腰」との批判が消えない。こうした国内世論を意識し、政権の対露政策が硬化の一途をたどる悪循環に陥っている側面がある。

     対露政策を巡る政権内の亀裂も露呈している。15日にテレビ出演したヘイリー国連大使は、シリアの化学兵器使用に絡み、「16日に対露制裁を発表する」と明言したが、実際には発表されなかった。17日にクドロー国家経済会議(NEC)委員長が「ヘイリー氏は先走りすぎた」と指摘すると、ヘイリー氏が反論。米メディアによると、トランプ大統領が反対したため、検討されていた制裁が発表されなかった模様だ。

     一方、ロシア側は米国への対抗策を慎重に練っているようだ。プーチン大統領は20日、ショイグ国防相、ゲラシモフ参謀総長と会い、シリア情勢の報告を受けた。露政府は19日にも安全保障会議を催しており、米国が対露強硬姿勢を鮮明にしていることで「我が国の安全保障への脅威が強まっている。追加的な措置が必要だ」(パトルシェフ安全保障会議書記)との立場を示した。

     今回のシリア攻撃に先立ち、ロシアは米国との関係が冷え込んでいた。露元情報機関員の暗殺未遂事件について「ロシアの犯行」と断定した英国と連携し、米国が欧州諸国とともに露外交官の国外退去措置に踏み切ったこともあり、ロシアは柔軟に対応する余地を失っている。

     また、米国は今月上旬、米大統領選介入を含むサイバー攻撃などロシアの対外「有害活動」に関与したとして、露企業と個人を対象にした制裁を発表。国際的なアルミニウム製造企業ルスアルなども対象に含まれており、ロシアからすれば、何らかの対抗措置を打ち出さざるを得ない状況にある。

     ロシア国内では「米国で政権が交代しない限り、関係改善は期待できない」(カーネギー国際平和財団モスクワセンターのトレーニン所長)という悲観論が強まっている。

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