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社説

終末期をどう迎えるか 元気なうちに話し合おう

 どのように人生の終末期を迎えるかは切実な問題だ。

     医療現場では延命治療を続ける傾向が強いが、ただ生命を維持するだけの治療に否定的な人は増えている。認知症や昏睡(こんすい)状態で意思表示ができなくなったときのことを考え、元気なうちから家族などと話し合って文書に残しておくことが大事だ。

     厚生労働省は11年ぶりに終末期の医療や介護のガイドラインを改定した。病院での延命治療に関することだけでなく、医療やケアの方針を判断するチームに介護スタッフを含めて検討することの重要性などを新たに明記した。

     現在は病院内で死亡する人が約8割を占めるが、自宅で最期を迎えたいという人は多い。介護施設でのみとりも増えている。医療に任せるだけでなく、もっと介護スタッフが人生の最終段階を支える役割を担えるようにしなければならない。

     自らの意思を書面で残しても、心身の状況の変化によって意思が変わることはよくある。このため、家族や看護師が治療や介護の方針を本人と繰り返し話し合って計画を立てていく「アドバンス・ケア・プランニング(ACP)」という取り組みが諸外国で始まっている。

     新ガイドラインでは「ACP」を医療・介護の現場に普及させるため、繰り返し話し合った内容をその都度文書にまとめておくこと、本人・家族と医療や介護の従事者がそれを共有することが重要と指摘した。家族や介護従事者に対する研修や啓発を徹底すべきだ。

     尊厳死や安楽死について法律で定める国は欧米で増えている。日本は障害者や難病の支援団体からの反対が強いこともあって議論は停滞している。ガイドラインに基づいて実践を積み重ねていくことが大事だ。

     最も人口の多い団塊世代が75歳以上になる2025年を過ぎると、年間の死亡者が現在より約2割増の160万人に上る。特に独居の高齢者が急増するのに伴い、現在年間3万人とされる孤独死はさらに増えていく見込みだ。

     家族以外で信頼できる人を治療や介護の方針を決めるチームに入れることも考えないといけない。目前に迫った「多死社会」に向けて議論を深めていくべきだ。

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