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おはなしめぐり

「やまのかいしゃ」が復刊 スズキコージさん(70) 楽しい事件を起こしたい

 とぼけた会社員の「ほげたさん」は、トイレのスリッパを履いたまま、うっかり会社とは反対方向の電車に乗り、山にやって来て--。人気絵本「やまのかいしゃ」(1991年に架空社から刊行)が5月、福音館書店から復刊される。作者のスズキコージさん(70)に話を聞いた。【聞き手・坂根真理】

     ほげたさんがしでかすことは、僕にとって生活の延長線上にあること。突拍子もない話に見えて「生活絵本」なんです。日常を楽しいことで打ち破ると、新しいものが生まれます。僕の生活の中では、そんな「レボリューション(革命)」がしょっちゅう起きています。

     子供の頃、個性が強い大人がたくさんいて、そんな大人を眺めて育ちました。例えば「穴掘りやっさ」。土葬する時に、穴掘りやっさが鉢巻きをして、腕をまくって棺おけの穴を5分ぐらいで掘るんです。骸骨が空中に飛んだりしてね。子供心に「すごいなあ、この人」って思いました。

     「10円玉の中にあんこが入っているのを知っているか」と言う大人もいました。でも、10円玉をかんでも硬い。ユニークなことをする大人がたくさんいたんです。

     大人になっても遊び心を忘れてはいけません。僕は電車に乗る時、腕立て伏せをやります。プラットホームに手をついて、足は車内に残して。駅員がこっちに走ってきたら、車内に入ります。面白い遊びを思いついたら、即実行です。

     外国に行くと、大人が楽しそうに遊んでいますよ。寒くて凍りついた交差点に人だかりができていて、スーツ姿のサラリーマンやおじいちゃんが、路面の上を滑って遊んでいました。

     日本に今、そういう余裕はありますか? そこなんですよ、この絵本の面白さは。日本人だって、江戸時代は遊んでいました。今の日本人は歌を忘れたカナリアみたい。だからね、楽しい事件をどんどん起こしたいと思っています。背広を裏返しに着て居酒屋でお酒を飲んだりね。背広の裏ってパッチワークみたいで、ニューファッションに見えるんですよ。

     そうしないと、マイナスの出来事に心がやられちゃいます。誰にでも遊び心はあるはず。この絵本で、社会に一石を投じたい。「働きながら遊ぼうよ。だってそのほうが毎日が楽しいよ」ってね。


     ■人物略歴

     1948年、静岡県生まれ。絵本、舞台美術、壁画など多方面で活躍する。「ブラッキンダー」(イースト・プレス)で日本絵本賞大賞を受賞。「おばけドライブ」(ビリケン出版)、「ドームがたり」(玉川大学出版部)など作品多数。

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