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本はともだち

点字、読んで触って ユニバーサル絵本 神奈川の団体、貸し出し活動10年

無料で貸し出している点字付き絵本を手にする大下利栄子さん=神奈川県葉山町で

 視覚障害のある人もない人も一緒に楽しめる点字付きの「ユニバーサル絵本」。貸し出す活動を続けている市民団体「ユニリーフ」(神奈川県葉山町)は今年、活動開始から10年を迎える。見える、見えないの垣根を越えて、絵本の楽しさを共有する場が広がっている。

     ユニリーフ代表の大下利栄子さん(58)は2008年、知人を通じて、イギリスで普及しているユニバーサル絵本の存在を知り、日本でも広めたいと活動を始めた。

     大下さんの次女歩(あゆみ)さん(21)は、2歳半の時に網膜にできるがんがきっかけで視力を失った。たくさんの友達の中で育ってほしいと、小学校は地元の普通学級に入学。障害児として必要以上に特別扱いをされていると感じることがあったという。「障害のある子もない子も同じように楽しめるものが少しでもあれば、一緒にできることが増えるのでは」との思いでユニリーフの活動を続けてきた。

     貸し出す絵本は、既存の絵本に点字訳を打ち込んだ透明のプラスチック製シートをページとして挟み込み、製本し直したもの。点字訳から製本まで、大下さんらが1冊ずつ手作業で担い、毎月、希望者に無料で貸し出す。蔵書は長く読み継がれている名作絵本を中心に約850冊に上る。

     定期的に利用するのは主に視覚障害児のいる家庭。「障害のある弟とない兄が一緒に絵本を楽しんでいる」「絵本を読む習慣がなかった子どもが一生懸命読んでいる」……。返送される絵本に添えられた手紙には、そんな体験がつづられている。視覚障害のある大学生が、サークル活動で障害のない子どもたちに読み聞かせるため、絵本を借りたこともあった。

     大下さん自身も、歩さんと一緒に落語やサーカスの絵本を読み、「面白そうだね」と実際に見に行った。歩さんが子どもの頃、真っ白なページに点字だけが打ち込まれた本を指先で読む姿を見て「私には分からない遠い世界に娘がいると感じた」という大下さん。「子どもが小さい頃は、親もまだ、障害をどう受け入れればいいのか分からず、つらい。同じ世界を共有できるということが、お母さん、お父さんを支えることもある」と話す。

     ユニリーフの利用はウェブサイト(http://unileaf.org/)へ。【塩田彩】


     「本はともだち」は毎月第4水曜日に掲載します。

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