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どうすれば安全安心

シニアPlus 「友達いない」4人に1人!! 身近に助け合える人を

 「友達が一人もいない」という人は、60歳以上で4人に1人にも上るという。超高齢社会を迎え、長い老後をいかに豊かに過ごすかは誰にとっても重要なテーマ。そのポイントの一つが友達といえよう。ただ、お年寄りにとって友達作りは簡単ではない。どのように増やしたらいいか。【宇田川恵】

    まず「あいさつ」して/自己紹介は住所で/私生活の話は後から

     会社を定年退職した後、急に老け込んでしまったという人は少なくない。妻や夫が亡くなったとたんに体調を崩し、介護が必要になったという高齢者の話もよく耳にする。いずれも、会社の同僚や配偶者以外、身近な存在がいなかったことが要因の一つではないかと思われる。

     日本の高齢者は海外に比べて、友達が少ないという。内閣府が日本や米国など4カ国の60歳以上の男女を対象に行った2015年度の国際比較調査によると、「家族以外に相談あるいは世話をし合う親しい友人がいるか」との質問に、「いずれもいない」と答えたのは、スウェーデンではわずか8・9%。米国やドイツでも10%台だった。これに対し、日本は25・9%で、実に4人に1人という高い割合だった。

     そもそも高齢者にとって、友達は必要なのだろうか。「ひとり老後は『友活』で決まる」などの著書がある保坂サイコオンコロジー・クリニック(東京都中央区)の院長で、精神科医の保坂隆さんに聞いてみた。保坂さんは、身近にいて支えてくれる人たちを指す「ソーシャルサポート」という言葉を使って、こう説明する。

     「ソーシャルサポートは配偶者や兄弟姉妹、子供ももちろん含みますが、友達も絶対に入っていなくてはならない重要なファクターです。ソーシャルサポートが多い人ほど長生きするというデータはかなりはっきり出ていて、友達作りは医学的にも非常に大事だということが分かっています」。つまり、友達が多いほど、健康で長生きできる可能性が高まるというのだ。

     ソーシャルサポートは主に「情緒的」「手段的」「情報的」と3種類に分けられるという。「情緒的」なソーシャルサポートは、一緒にいるとほっとできる関係の人。信頼し合う配偶者や親友などだ。電話やメールで励まし合う間柄でいいので、互いに離れて暮らしていても構わない。誰でも1人や2人は思い浮かぶのではないか。

     一方、「手段的」は、困った時に現実的に対応してくれる人。急病の際、病院に運んでくれたり、寝込んだ時に食事を作ってくれたりする存在だ。「現実対応」がポイントなので、近い距離に住んでいることが必要。歩いて行き来できる距離にいれば望ましい。

     また「情報的」とは、正しい情報をくれる人。「ボランティアをするなら、このセンターに登録すべきだ」など役立つ情報を持っている人がこれに当たる。

     保坂さんは「3種類それぞれに友達を作るべきで、少なくとも2、3人ずつ持っているといいでしょう」とアドバイスする。人によっては「私は友達が多いから安心」などと言うが、情緒的な友達ばかりで、いざという時に頼れないこともある。友達作りはいずれかに偏らないことが大切だ。

     3種類のソーシャルサポートを見ていくと、作ることが最も難しそうなのは「手段的」な友達といえる。「情緒的」「情報的」な友達はいずれも近くに住んでいる必要はないが、「手段的」な友達は、身近な生活圏の中で見つけるしかないからだ。

     しかも、年を取るほど、必要に迫られるのが「手段的」な友達でもある。特に、女性は平均寿命が長いため、夫に先立たれる可能性が高い。「夫だけが頼り」と信じていて、運転免許も持たず、友達もいない女性の場合、夫が亡くなると同時に通院や買い物など、日々の生活に困ってしまう。

     では、「手段的」な友達はどう作ればいいか。「友達は棚から落ちてきません」と、保坂さんは言い切る。ことわざの「棚からぼた餅」は、労せずして良い物を得られることの例えだが、努力や苦労なくして友達は得られないというのだ。「失うものは何もないという覚悟で一歩を踏み出すことです」

     一歩を踏み出す基本は「あいさつ」だ。そして「話しかけてみる」こと。まずは、マンションの総会や神社の祭り、図書館の催しや公民館のカルチャークラブなど、地域の人が集まりそうな場所には何でも足を運び、冒険のつもりであいさつしてみよう。

     その際、退職した男性にありがちなのが、「○○会社の△△部長だった××です」など会社の所属を口にしてしまうことだが、これでは周囲から敬遠されかねない。所属はあくまで「住所」であり、「○丁目に住んでいる××です」と名乗ることだ。「名刺のない付き合いをした経験がない人にはぴんとこないでしょうが、住所であいさつすると、『あの店が近くにありますね』『今度一緒に行きませんか』など、地域の意外な話題で盛り上がることが多いんですよ」と保坂さん。

     また、注意した方がいいのは、「いきなり最初から『1人暮らしです』などプライベートな話はしないこと」。そのうち仲良くなって打ち解ければ、自然と私生活について話し、助け合う関係を築くこともできる。保坂さんは「『手段的』な友達を作るのは難しくもありますが、お互い様という意識を持ち合えば、それほど困難ではありません。今は1人暮らしが多く、口に出せなくても助け合える関係を持ちたがっている人はとても多いからです」。

     「人生100年」の時代に生きる私たち一人一人にとって、老後を充実させてくれる友達は欠かせない。できるだけ早いうちから積極的な友達作りを心掛けたい。

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