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余録

江戸川柳に「麻疹で知られる傾城の年」というのがある…

 江戸川柳に「麻疹で知られる傾城(けいせい)の年」というのがある。流行中のはしかにかからないので、遊女の年齢がばれたという。前の流行の時にすでに生まれていたということだが、人々は前の流行を覚えていたのだ▲当時ははしかの流行が25~30年の周期でくり返されたという。人々は、はしかは一度かかったらかからなくなることも知っていた。「はしかは命(いのち)定(さだ)め」ともいわれ、いったん流行すればおびただしい数の死者が出た時代のことである▲「はしか絵」とはその流行の時に作られた錦絵で、養生法や予防のまじないなどが記されていた。その中には過去に流行した年を列挙したものもあり、人々は流行の周期も知っていた。免疫も経験知として語り伝えられていたようだ▲江戸時代の人すら気にしたくらいだから、こちらも改めて自分に十分な免疫があるのかないのかを確認した方がよさそうだ。大型連休を前にはしかの流行が続く沖縄県が0歳児やワクチン未接種の妊婦の訪問延期を勧めているという▲ワクチン接種は1978年に導入したが、91年以降2回接種制になるまでの間に1回しか接種を受けていない人も免疫が不十分らしい。ほぼ自然感染している50代以上は心配ないが、下の世代で未接種や接種1回の人は要注意という▲土着のウイルスによる感染を子どもの通過儀礼のように考えていた年配の世代には意外な現代はしか事情である。ここは免疫のない人々への感染拡大を「命定め」と恐れたご先祖に学ぶべきこともあろう。

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