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Theme 「明治150年」関連書籍続々 顕彰にとどまらず、多角的に

幕末、明治維新を取り上げた書籍=東京都千代田区で24日

 元号が明治となってから満150年となる今年、関連書籍が相次いで刊行されている。

     たとえば『戊辰戦争の新視点』の上下巻(奈倉哲三・保谷徹・箱石大編、吉川弘文館)だ。1868(慶応4=明治元)年正月、幕府側と薩長など倒幕軍で始まった鳥羽・伏見の戦いから翌69年の五稜郭開城までのおよそ1年半続いた戦いについて、最新の研究成果が盛り込まれている。

     上巻が「世界・政治」で下巻が「軍事・民衆」。従来の研究では<戊辰戦争も「明治維新論」の一部として、中央政局とそれと対立する動向についての政治史研究>などに重きが置かれた。明治政府がどういう権力だったのかを議論する「権力規定論」。あるいは個別の戦局を検討することが主流だった。東京大史料編纂(へんさん)所の保谷所長は「国際社会の中でどうだったのか、地域社会にどんな影響を及ぼしたのか、幕藩体制をどう変えていったのかという視点は乏しかった」と振り返る。本著はそのテーマに切り込んだ。

     「戊辰戦争の中に、明治の芽生えがあった」。保谷所長は言う。たとえば西洋式な軍隊、軍事力だ。「旧幕府は大名が奉仕する体制だから、『こういう軍隊を連れてこい』と徹底できなかった。しかし新政府ははっきりと『銃砲隊以外連れてくるな』と言えた」。軍事動員の仕方が決定的にかわった。

     新政府が、大名たちの家臣を「戦争の中で天皇に直接結びつく家来に組み替えていったことが、今回初めて解明されたと思います」という。中央集権の基礎が、戊辰戦争でできたのだ。

     さらには国際社会が監視する中で幕府側や新政府側が何を考えていたのか、あるいは列強が日本の内戦をどうみていたのか。民衆にどんな影響があったのか。鳥の目と虫の目で検証されてゆく。また戊辰戦争の個々の戦いを詳しく知るには、『図解詳説 幕末・戊辰戦争』(金子常規著・中公文庫)が頼りになる。

     政府は「明治150年」の顕彰事業を進めている。封建時代から近代化を遂げた成功体験から活力を得ようとするかのようだ。ドラマや小説などでは、「維新」に貢献した薩長などの人々はヒーローとして描かれがちだ。

     ただ江戸幕府側に目を向ければ、違った風景が広がってくる。『榎本武揚と明治維新』(黒瀧秀久著・岩波ジュニア新書)はその手引だ。旧幕臣の中に優れた人材がおり、新政府を支えたことが分かる。また森田健司・大阪学院大教授は「明治維新」を批判的に検証する論考を精力的に発表している。『SAPIO』3・4月号(小学館)掲載の「明治維新という洗脳を解く」は、「維新=日本を刷新した革命」「維新の志士=英雄」という見方を揺さぶる内容だ。【栗原俊雄】

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