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長官鳥瞰

「科学の目」競技に活用=鈴木大地

 100分の1秒を争う記録競技出身のせいか、採点競技は「分かりにくい」と感じていた。だが、採点競技には人工知能(AI)などを活用した「科学の目」が入り、競技の公平性や公正性の向上に一役買っている。

     典型的なのは体操だ。国際体操連盟(FIG)の渡辺守成会長は、2016年10月の会長選で、コンピューターを駆使した採点システムの導入を「公約」として掲げた。体操界では近年、技の高度化に審判の目がついていかず、低難度の技に「誤審」されるケースが散見されていた。富士通とFIGは現在、20年東京五輪を見据えた採点システムの開発を進めている。

     「これは他の競技にもプラスになる」と考えた私は、静岡県富士水泳場で今年3月に開かれた飛び込みのワールドシリーズ富士大会で、国際水泳連盟(FINA)の幹部らに、体操で開発中の採点システムを紹介した。飛び込みは2秒足らずで演技が終わる一瞬の競技だが、技の判定は審判の目に頼っている。「それは体操の話だろう」と慎重な意見もあったが、競技出身の中国人理事は「これはいい。練習に使える」と大いに乗り気だった。

     そうなのだ。科学の目を活用して正確な技を身に着ければ、競技力は向上する。採点システムは審判の負担を軽減し、競技の公正性の確保に寄与する。

     また、AIの応用によっては、格好の「練習相手」になり得る。例えば、水泳には川や海を遠泳するオープンウオーターという種目があるが、野外での単独練習には危険も伴う。そんな時、ロボットのような練習相手がいれば、ペースを計ることはもちろん、異変時に救急通報する仕組みも搭載できるだろう。

     膨大なデータから適当な練習メニューを抽出、作成するのは、コンピューターの得意分野かもしれない。だが、アスリートは精神との闘いでもある。試合当日に実力を発揮できる「心」の力は、最終的に本人の努力によるところが大きいし、指導するコーチの力も少なくない。科学技術の知見も効果的に取り入れつつ、それを生かすことが競技者と指導者に求められている。(スポーツ庁長官)

        ◇

     「鳥瞰(ちょうかん)」とは空を飛ぶ鳥のように全体を大きく眺め渡すという意味です。鈴木長官が幅広い視野でスポーツ界を展望します。(原則月1回掲載、署名は自筆)

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