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投資は変わるか

資産形成新潮流/上 若者世代、高まる関心 つみたてNISA、期待と不安

「きんゆう女子。」の勉強会。女性らは熱心に「つみたてNISA」について学んでいた=岡大介撮影

 2月下旬の夜、東京証券取引所(東京都中央区)近くのカフェに10人余りの女性が集まった。金融や投資を学びたい女性グループ「きんゆう女子。」の勉強会。日本証券業協会から講師を招き、「つみたてNISA」について説明を聞いた。会社員、江口まりなさん(27)はインターネットで告知を見て初めて参加した。「転職や結婚を機に、お金のことを考えるようになった。子育てなど将来を考えると、投資も『あり』かな、と」

     旅行会社を退職し、2年前に「きんゆう女子。」運営会社を設立した鈴木万梨子社長は「年金など社会保障への漠然とした不安と、昨年の株価上昇による期待とで、これまで投資に関心のなかった若者が変わり始めている」と分析する。グループへの登録メンバーは20~30代を中心に1200人超。若者世代は投資の成功体験がない一方で、バブル崩壊のような失敗の記憶もない。このため「過度な警戒感や先入観を持たないのが特徴」(鈴木社長)とみる。

     こうした若者世代の背中を押すために政府が新設したのが、つみたてNISAだ。月3万円程度の積み立て投資を促す制度設計となっており、長寿化で年金財源が乏しくなる中、老後資金をできるだけ自力で賄ってもらいたいという思惑が政府にはある。江口さんも「国の後押しがあるなら、最初は知識がなくても大丈夫かなと思う」と関心を示す。

     ただ、「わかりにくさ」もつきまとう。NISAと名の付く制度はこれで3種類に増えた。長期積み立て投資を税制優遇する制度には個人型確定拠出年金(イデコ)もある。日証協主催のセミナーに参加した女性会社員(27)は「思ったより始めるのは難しそう。将来、給料と年金だけでは不安なのだが……」と迷っていた。関心はあるけれど、踏み出せない。そんな若者も少なくない。

     「売る側」である金融機関はどう感じているのか。大手証券の営業マンは「投資額が少ないつみたてNISAは評価につながらず、顧客に勧める気になれない」と明かす。

     4年前にスタートした「一般NISA」は証券会社や銀行がこぞってアピールしたが、「つみたて」は最初から扱わない大手証券会社もある。「制度に対応するためのシステム投資に収益が見合わない」(大手証券)ためだ。宣伝も控えめで、開始2カ月の主要7証券のつみたてNISAの新設口座数は約23万件で、「一般」が開始2カ月で得た口座数(主要10証券)の7%にとどまった。

     鈴木茂晴・日証協会長は「新規開拓は簡単ではない」と認める。目先の収益は低くても、投資家の裾野を拡大するため、どこまで本気で取り組むのか。金融機関側の「根気」が問われている。

        ◇

     個人の金融資産に占める現預金の割合が半分以上を占め、欧米に比べ圧倒的に多い日本。だが、将来不安に押され、若者世代や業界に変化の兆しも見える。現場から報告する。(この連載は岡大介が担当します)


     ■ことば

    つみたてNISA

     若年層の長期資産形成を後押しするため今年1月始まった「積み立て型少額投資非課税制度」の略称。年間投資額40万円を限度に、運用益を20年間非課税にする。対象商品は、販売手数料ゼロ、管理・運営の信託報酬も低額の投資信託に限られる。2014年に導入された「一般NISA」は、年間投資額120万円を限度に最長5年間非課税とし、株式なども対象となる。子供や孫の教育資金向けに年間80万円が非課税になる「ジュニアNISA」もある。

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