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余録

「知者は水を楽しみ、仁者は山を楽しむ」…

 「知者は水を楽しみ、仁者は山を楽しむ」。論語の言葉だ。知恵のある人は水のように自在に動き、徳の高い人は山のように動じないという意味に解釈される。古代から知者も仁者も自然の山水を楽しんできたと考えれば、庶民にもわかりやすい▲木々が生い茂る深山幽谷(しんざんゆうこく)の景色を手元に置いて楽しみたい。そんなアイデアから生まれたのが中国の盆景だろう。唐代の壁画にはお盆のような容器に植えられた花や木を持った人物像が描かれている▲平安時代には日本にも伝わり、盆栽として独自の発展を遂げた。19世紀前半の長崎のオランダ商館長は「自然の成長を抑制、あるいは助長して異常な発育状態に導く」という日本独特の植栽技術に感心している。曲がりくねった松の盆栽を連想させる▲今や盆栽愛好家は世界に広がり、BONSAIは世界共通語だ。関東大震災後に東京・千駄木周辺の植木屋が移転した「大宮盆栽村」(さいたま市北区)は日本観光の人気スポットだ。樹齢数百年の名作の数々が陳列された「さいたま市大宮盆栽美術館」には連日、外国人客が訪れている▲輸出も好調だ。昨年の植木・盆栽の輸出額は初めて100億円を超えた。精緻な日本の盆栽は本家の中国でも富裕層を中心に人気を集めており、輸出額の半分を占める。名品は高値で取引されるという▲きょうは「みどりの日」。恵まれた日本の自然環境が盆栽など優れた植栽技術を育んできた。山水を楽しみ、慈しんできた先人たちの歩みにも思いをはせたい。

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