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なるほドリ・ワイド

はやぶさ2の任務は=回答・池田知広

 宇宙航空研究開発機構(うちゅうこうくうけんきゅうかいはつきこう)(JAXA)の小惑星探査機(しょうわくせいたんさき)「はやぶさ2」が、早ければ6月下旬にも目的地の小惑星「リュウグウ」に到着します。どんな任務が待っているのでしょうか?

     ◆小惑星に行って何をするの?

    生命の起源迫る「かけら」採取

     なるほドリ はやぶさ2は何をしに行くの?

     記者 リュウグウに着陸し、かけらを採取して2020年に地球に持ち帰ります。小惑星のかけらは、われわれの太陽系(たいようけい)が形成されたときの状態をよく保っていると考えられていて、詳しく分析することで太陽系や地球の成り立ち、生命の起源などに迫れると期待されています。

     Q 初代はやぶさも小惑星の試料を持ち帰ったよね。

     A 10年、世界で初めて小惑星「イトカワ」から試料を持ち帰り、大きな話題となりました。初代は技術を試す「実験」だったのに対し、はやぶさ2は「本番」の位置づけです。初代は表面の岩石を砕くための金属弾が発射されず、顕微鏡(けんびきょう)でしか見えないような微粒子(びりゅうし)しか持ち帰れませんでした。今回は計3回着陸し、もう少し大きな表面の試料を採取するほか、50センチほどの深さのクレーターを作り、太陽風(たいようふう)や宇宙線で風化していない地下の新鮮な試料も持って帰る計画です。

     Q クレーターって、どうやって作るの?

     A 爆薬などを仕掛けて吹き飛ばすと、小惑星の表面が火薬などで汚染されてしまい、正確な分析ができません。なので、銅製(どうせい)の衝突体(しょうとつたい)(直径約25センチ、重さ約2・5キロ)を発射してぶつけます。速度は秒速2キロにも達します。地上での実験では、100メートル先の的を打ち抜き、人工の山に大きな穴ができました。

     Q そんなすごい速さで打ち出したら、はやぶさ2は反動で飛んでいかないの?

     A 衝突装置を機体から切り離した後、爆薬に点火して衝突体を打ち出すので大丈夫です。衝突体が地表に衝突する際、はやぶさ2はいったんリュウグウの裏側に避難し、その後戻ってクレーターに着陸します。

     ◆来月下旬にも到着、計画は順調?

    少しずつ接近中、着陸が難関

     Q 初代はやぶさは数々のトラブルに見舞われたけど、はやぶさ2は順調なの?

     A 14年12月に種子(たねが)島宇宙センター(鹿児島県)からH2Aロケットで打ち上げられて以降、トラブルらしいトラブルはありません。初代でも大活躍した「イオンエンジン」で少しずつ加速し、リュウグウが太陽の周りを回る後を追いかけるように少しずつ差を詰めています。3日現在、残り約13万キロまで迫っており、6月21日~7月5日には、リュウグウから20キロの地点に到着する予定です。

     Q すぐに着陸しないの?

     A まずはリュウグウの地形や表面の状況がどうなっているか、観測しなければいけません。その上で着陸する場所を決めます。初代は2回の着陸ともうまくいきませんでした。今年10月に予定される最初の着陸は難関の一つになります。さらに、探査用の小型ロボットを投下したり、衝突体で作ったクレーターで岩石を採取したりと、緊張を強いられる任務が待っています。

     Q 初代での経験が生きそうだね。

     A エンジンや姿勢を維持する装置に故障が相次いだ初代の教訓を受け、プロジェクトのメンバーはさまざまな事態を想定した訓練を続けています。ミッションマネジャーの吉川真(まこと)・JAXA准教授(じゅんきょうじゅ)は「初代の時は『怖いもの知らず』だっただけに今回の方が怖いが、確実にミッションを達成したい」と意気込んでいます。

     ◆リュウグウってどんな星?

    直径約900メートル、鉱物には水分子

     Q リュウグウってどんな小惑星なの?

     A イトカワは横になったラッコのような形だったのに対し、リュウグウは球形に近く、直径約900メートルとイトカワよりも大きいです。ただ、詳しい形はもう少し近づかないと分かりません。地球の自転(じてん)周期は24時間ですが、リュウグウは約7時間半。どんな向きに回転しているかは分かっていません。リュウグウもイトカワも、地球と火星の間あたりで太陽の周りを回っていて、リュウグウは474日で太陽を1周します。

     Q イトカワってロケット博士の名前だよね。リュウグウの名前の由来は?

     A 1999年に発見された時につけられた符号は「1999JU3」でした。小惑星から試料を持ち帰るミッションが、カメに乗って玉手箱(たまてばこ)を竜宮城(りゅうぐうじょう)から持ち帰る浦島太郎(うらしまたろう)と重なることから、公募で決まりました。小惑星は水を含むとみられ、海中にある竜宮のイメージに合致したことも理由です。

     Q 水があるの?

     A 海や池はありませんが、水分子(ぶんし)を含む鉱物(こうぶつ)があるとみられます。地球の水は、大昔に衝突した彗星(すいせい)や小惑星がもたらしたという説があり、リュウグウの岩石を分析すれば地球の水の起源(きげん)を解明するヒントが得られるかもしれません。

     Q イトカワとの違いは?

     A リュウグウは炭素(たんそ)の含有量(がんゆうりょう)が比較的多い「C型小惑星」に分類され、黒っぽい色をしていると考えられています。一方、イトカワは炭素の少ない「S型」です。生命を構成する有機物(ゆうきぶつ)は炭素を骨格としており、生命誕生の謎に迫るにはC型の方が適しています。C型小惑星の大半は、火星と木星の間にある「小惑星帯」に存在していますが、リュウグウは例外的に地球に近づくため、06年にはやぶさ2の目的地に選ばれました。(科学環境部)<グラフィック・菅野庸平>


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