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プーチンのロシア

4期目始動/下 「対米」修復 光見えず

米大使館(左の建物)前は以前より閑散としている=モスクワで4月26日

 シンクタンク研究員のオレグ・クリボラポフさん(28)は昨年8月末、研修生向けの米国査証(ビザ)を取るためにモスクワの米大使館で面接を受ける予定になっていた。ところが、予定日の3日前になって突然延期を通告された。結局、3週間後に面接は実現したものの、大使館に行ってみると「ビザの申請に来た人も、大使館員も明らかに少ない」ので驚いた。

     2016年米大統領選へのロシア当局の介入疑惑などを受け、米露両国はここ1~2年、対立を深めている。関係悪化は外交官の追放合戦につながり、特に希望者が多いロシア国民向けの米国ビザの発給作業を直撃した。昨春から昨夏まで月平均1万数千点の観光ビザが発給されていたが、昨夏にロシア駐在の米外交官の多数に退去処分が出ると、ビザ関連の作業が滞り、半分程度に落ち込んだ。

     今では多くのロシア人が隣国のウクライナやバルト3国の米大使館でビザ手続きを受けるようになったという。試しに毎日新聞モスクワ支局の助手が旅行会社に米観光ビザを取りたいと伝えると、こう返事が来た。「ウクライナの米大使館で来週面接ができる」

     このような状況について「日常レベルの(両国の)信頼醸成まで妨げてしまう」と、クリボラポフさんは嘆く。

     プーチン大統領の通算4期目の就任を控え、最近の出来事が米露対立に拍車をかけている。英国で発生してロシア当局の関与が疑われている元露情報機関員の暗殺未遂事件▽ロシアのアルミニウム製造企業などが狙い撃ちにされた米国の新たな制裁--などである。

     「米国の政権が代わらなければ、対米関係は改善できない」。カーネギー国際平和財団モスクワセンターのドミトリー・トレーニン所長はこう指摘する。ロシアとの癒着が疑われたトランプ政権が続く限り、対露関係の改善に乗り出せないとみられるからだ。

     「対立はもっと根本的なものだ」と、より悲観的な見方を示す西側外交筋もいる。ソ連崩壊後の混乱を乗り越えたロシアが、米国を中心とする安全保障体制に挑み、それが対立の根底にあると見立てている。

     この外交筋は「対立が続いた場合、最も恐ろしいシナリオは、米露間で核管理の枠組みまで壊れてしまうこと」と警告する。試金石は21年2月に新たな戦略兵器削減条約(新START)が失効する前に、両国が条約更新の席に着けるかだ。対米強硬姿勢を崩さないプーチン政権が柔軟に対応するのかが焦点となっていく。【モスクワ大前仁】

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