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投資は変わるか

資産形成新潮流/中 運用者が脱「黒衣」 哲学語り共感つかむ

「顔が見える投信」を目指す「げんせん投信」のホームページでは、運用を担当する伊藤琢氏が自らの写真入りで投資哲学などを説明する=東京都千代田区で、岡大介撮影

 「思いをお伝えします」「質問にお答えします」--。スーツ姿の男性がほほえむ。ニッセイアセットマネジメントが2017年6月に設定した「げんせん投信」の特設ホームページ。運用責任者の伊藤琢氏や商品開発、マーケティング担当者ら10人以上が顔写真入りで登場し、投資哲学や企業訪問の様子、中には高校時代までさかのぼった詳しい経歴まで紹介している。大手運用会社がここまで「情報公開」するのは異例だ。

     徹底した「顔出し」には「相場が悪くなっても逃げ隠れしない。良い時も悪い時もチームで戦い、顧客と長く一緒に歩きたい」(伊藤氏)との決意が込められている。情報発信が評価されたのか、ネットでは若者の反応も多いという。投信購入を検討中の東京都内の女性会社員(35)は「運用成績のグラフばかり見せられるより、ストーリーを語ってくれる方が共感する」と語る。4月初旬の純資産額は5億円弱と、3カ月前に比べ2倍に拡大した。

     大手の投信で運用責任者が表に出ることはほとんどない。運用失敗時に矢面に立ったり、成績が良くて他社に引き抜かれたりするのを避けるため--というのが表向きの理由だ。だが、より本質的には投信営業が「短期志向」に偏っているため、とされる。

     投信は、はやりのテーマで次々と登場する。販売ノルマがある証券会社の営業マンにとっては、保有する投信を解約してもらい、それを元手に契約を獲得するのが手っ取り早い。投資家が運用責任者個人を信頼すれば、解約しにくくなる。だから運用責任者は「黒衣」に徹する方がよい--という理屈だ。

     近年は、短期から長期へ、匿名から実名へという流れもある。代表例は独立系のレオス・キャピタルワークスが08年に設定した「ひふみ投信」だ。

     販売会社の後ろ盾もなく、当初は地方でセミナーをしても参加者が3人しかいないこともあった。だが運用責任者の藤野英人社長らがセミナーやフェイスブック(FB)で発信を続けたことで規模は次第に拡大。系列商品も加えたひふみ「シリーズ」全体の残高は4月現在7000億円を超える。藤野氏は「証券会社の本社、支店、営業マン、顧客へとピラミッド型につながる時代から、FBなどの口コミで横に拡散する時代になった」と成長の背景を分析する。ひふみ投信に投資する都内の男性会社員(32)は「藤野さんの哲学に共感して始めたので、株価が下がっても長期で持ちたい」と話す。

     ニッセイアセットに続き、みずほフィナンシャルグループ傘下のアセットマネジメントOneも17年9月、運用担当者の手腕を強調する投信を設定した。藤野氏は、大手の変化を歓迎しつつも、注文を付ける。「頑張ってやり切ってほしい。10年続けるのは、結構大変だ」


     ■ことば

    投資信託

     投資家から資金を集め、専門家が株式や債券などに投資して、その成果を投資家に分配する金融商品。一般投資家を募集する投信は約6000本ある。購入・解約時の手数料に加え、保有期間は管理料がかかるのが一般的。時流にあった産業や特定の国・地域などの関連銘柄で構成する「テーマ型」と呼ばれる投信が頻繁に設定されている。顧客の利益を考えず、手数料稼ぎを目的に勧める営業マンも多く、金融庁は「長期投資が根付かない要因だ」と批判を強めている。

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