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投資は変わるか

資産形成新潮流/下 ITを活用、身近に 「楽しさ」で若者引きつけ

フォリオの甲斐CEOが手にするスマホの画面には、「寿司」など、投資の堅苦しいイメージを覆すユニークなテーマが並ぶ=東京都内で、岡大介撮影

 スマートフォンの画面に鮮やかなイラストとタイトルが並ぶ。「寿司(すし)」「コスプレ」「がんばろう東北」--。新興ネット証券「フォリオ」は2017年11月、約60のテーマを設定し、それぞれのテーマに合わせて10社の株式に10万円前後で分散投資できるサービスを始めた。さらに18年1月、通信アプリ大手LINE(ライン)と資本業務提携を結び、業界の話題をさらった。

     外資系証券会社を退職し、15年末にフォリオを創業した甲斐真一郎・最高経営責任者(CEO)は「初心者に長期分散投資に興味を持ってもらうにはエンターテインメント性も必要」と考えた。大手が設定するテーマ型投信は「人工知能(AI)」「新興国株」など、利回りを意識したものが多い。フォリオは趣味や好みに関連した、顧客が応援したくなるテーマが中心だ。

     インターネット通販の「ショッピング感覚」で手軽に投資できるようデザインや使い勝手にも気を配っている。フォリオで初めて本格的に投資をした神奈川県の会社員、池田美香さん(25)は「テーマを見ていると、興味が広がり楽しい。分かりやすくてストレスがない。入金なども簡単だった」と評価する。

     ラインとフォリオは新たな投資サービスを共同で開発中だ。ラインは、月間の国内利用者が7000万人を超える。投資に興味がない人の「生活に入っていくのは難しい」(甲斐氏)が、ラインと提携し、膨大な顧客に投資を意識してもらうきっかけ作りを摸索する。

     こうしたITと金融を組み合わせたフィンテックの台頭が、投資を身近にし始めている。フィンテックベンチャーのトラノテックが手がけるアプリ「トラノコ」は、あらかじめ設定した額とクレジットカードなどでの買い物の差額を「おつり」に見立てて貯金し、毎月投資に回す。例えば1000円単位で金額を設定し、1回の買い物が800円なら200円が自動的に貯金に回る仕組みだ。投資メニューは、利用者が迷わないよう高リスク、低リスク、標準の3種類のみにした。利用者の35%は年収300万円未満と、投資に縁遠かった層を取り込んでいる。

     楽天証券は、楽天市場など系列サービスで獲得したポイントで投信を購入できるサービスを展開する。「お金を投じるのは怖いという人に、まずポイントで投資を試してもらう」(広報)狙いで、3月に初めて投信を買った顧客の半数近くがポイントのみで購入したという。

     大手証券も、新たな動きを無視できなくなっている。業界首位の野村ホールディングスは、やはりラインとの業務提携に向けた協議に入った。これまで縁が薄かった若者層に積み立て型長期投資商品などをラインを通じて売り込むのが狙いだ。

     欧米に比べ、日本では裾野が広がらない投資。新たなサービスや業界の変化が、これから市場を支える若者に受け入れられるかどうかが問われている。


     ■ことば

    フィンテックと投資

     フィンテックは、情報技術(IT)と金融が融合したサービスの総称。投資業界では近年、複数の質問を基にコンピューターが運用銘柄の選定などを自動的に行うロボットアドバイザー(ロボアド)が浸透してきている。ロボアドで国内最大手のウェルスナビは4月、顧客からの預かり資産が700億円を超えた。野村証券など大手各社も参入している。

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