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社説

国立映画アーカイブが開館 シネマ文化の継承拠点に

 全国で6館目の国立美術館となる国立映画アーカイブが先月、東京・京橋に開館した。東京国立近代美術館の一部門だったフィルムセンターが独立した。

     日本映画は世界から高く評価されている。約8万本を所蔵する国内最大のフィルムアーカイブとして、映画文化の地位向上、振興に弾みがつくことが期待される。

     アーカイブが使命に掲げるのは、映画フィルムや映画関係資料の収集、復元、保存、そして活用だ。

     120年の歴史を持つ映画は、大衆の娯楽であると同時に芸術作品であり、時代の風俗の“証言者”として二度と再現できない貴重な歴史資料でもある。国連教育科学文化機関(ユネスコ)では1980年、映画などは人類全体の遺産であり、後世のために保存すべきであるとする勧告が採択された。

     欧米の多くの国では30年代から公的支援を受けて保存が図られてきた。日本で国立近代美術館(現・東京国立近代美術館)開館に伴うフィルム・ライブラリー事業が始まったのは52年。大きく後れをとった。

     関東大震災や戦災もあり、現在のところ、小津安二郎監督作品を含め戦前期の無声映画の大半が失われている状態だという。

     寄贈や購入により、この15年で収蔵フィルム数は3倍に増えた。所蔵する現存最古の日本映画「紅葉狩」(1899年)が映画フィルムとして初めて重要文化財に指定されるなど、保存への理解も高まった。

     一方、映画のデジタル化の流れのなか、規格やファイル形式の変化により、データが継承できないなどのリスクがある。長期安定的な保存技術の研究は喫緊の課題だ。フィルムの映写技術の継承といった問題もある。動画配信など映画の鑑賞方法が多様化するなかで、映画館で見る魅力を知ってもらう努力も必要だ。

     フィルムセンター時代の来館者数はここ数年減少傾向にあった。アーカイブでも、商業映画館にはない企画などで、多角的に映画文化に触れる機会をより増やしていくことが不可欠だろう。

     銀座に近いという地の利もある。訪日観光客も視野に入れるなど、日本文化を未来へつなぎ、世界に広める拠点にしたい。

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