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月刊相撲

待ったなし 優勝に力士人生かけ=武藤久

 大相撲の優勝制度は1909年夏場所から始まった。以来、優勝額が贈られるようになり、毎日新聞社贈呈の優勝額が国技館内に掲額されている。幕内の優勝力士は2014年春場所の鶴竜で100人目。今年の初場所で平幕優勝した栃ノ心は105人目だった。年6場所になった58年以降では、通算361場所で優勝力士は優勝40回の白鵬はじめ65人だけだ。

     「毎場所、全勝と優勝を狙って土俵に上がっている」といつも口にしていたのは、解説でも知られる谷川親方の北勝力。04年夏場所、西前頭筆頭で千秋楽に勝てば優勝力士に名を連ねるはずだったが、新入幕の白鵬に敗れて13勝2敗。本割で勝っていた横綱・朝青龍との優勝決定戦に敗れて悲願はならなかった。

     北勝力のように口にする力士は多くはないが、内心はみな同じだろう。力士がこだわる優勝だが、目指すあまり相撲人生にひびが入ることも少なくない。

     6場所連続休場中で次に出場する場所が背水の陣になる稀勢の里。昨年の春場所は、日馬富士戦で痛めた左胸のけがをおして千秋楽の照ノ富士との本割、優勝決定戦を連勝し、奇跡的な逆転優勝を勝ち取った。しかし、その代償は大きく、さらにけがを重くして追い詰められている。

     思い出すのは、01年夏場所の貴乃花だ。14日目に右ひざを負傷。サポーターで固めて出た千秋楽では武蔵丸に敗れて13勝2敗の相星。決定戦の上手投げで「鬼の形相」といわれた勝利の顔を見せ、当時の小泉純一郎首相が「痛みに耐えてよく頑張った。感動した」と内閣総理大臣杯授与式で絶叫して日本中に感動を与えた。しかしこれが最後の優勝になった。負傷の影響は大きく、史上初の7場所連続全休のあと、03年初場所途中で引退した。

     稀勢の里と優勝を争った照ノ富士もまた優勝がらみのけがで苦しんでいる。15年秋場所で右ひざに大けがをしながら本割で鶴竜に勝ち、決定戦に持ち込んだものの敗退。けがをさらに悪化させた。

     4度目の大関カド番で迎えた昨年の春場所は、悪癖であり魅力でもある引っ張り込む相撲で、優勝目前までいきながら稀勢の里に名をなさしめたうえ、けががその後の大関陥落につながった。糖尿病も追い打ちをかけ、十両であえいでいる。

     幕内の優勝賞金は1000万円で他のプロスポーツと比べても多くはないが、なにものにも代えられない名誉が優勝なのだろう。風薫る5月の夏場所は13日が初日。稀勢の里の出場はなるか。照ノ富士の土俵はどうか。力士生命を左右する優勝争いをみると、格闘技としての大相撲の厳しさが伝わってくる。(東京相撲記者倶楽部会友)

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