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毎日フォーラム・パラスポーツ

障害者の法定雇用率アップ あいおいニッセイ同和損保の支援

2017年9月のジャパンパラリンピック水泳競技大会で、同僚の選手に声援を送るあいおいニッセイ同和損保の社員ら(同社提供)

選手が同僚になり社員に一体感

 企業等に義務付けられた障害者の法定雇用率が4月から0.2ポイント上がり、民間企業で全従業員の2.2%となった。一方、昨年12月の厚生労働省発表によると、この率を達成した企業は半数にとどまる。今回は、選手の雇用を機軸にパラスポーツ普及に努めるあいおいニッセイ同和損保(東京都渋谷区)の取り組みを紹介したい。

     昨年3月。静岡・富士水泳場でのパラ水泳記録会の観客席に、一塊の緑色の集団があった。そろいのビブス姿で、手には応援用のスティック型風船。スタート台前に立つ同僚の選手名と所属企業名がコールされると、風船の拍手音と歓声がプールにこだました。

     同社は現在、選手18人を嘱託社員として採用。うち14人がパラリンピックやデフリンピックなどを目指すパラアスリートだ。16年リオパラに2人、17年のトルコでのデフリンピックに2人が出場。17年春には、リオパラの銅メダリストが高校新卒で入社し、同年夏には、リオ五輪に出場した競泳選手も加わった。

     選手雇用の責任者、倉田秀道・経営企画部次長は早稲田大を卒業後、同社の前身企業に入社し、その傍ら母校スキー部を指導。03~16年、監督を務め、多くの五輪選手らを育てた。今年の平昌パラのアルペンスキーの全5種目でメダルを獲得した村岡桃佳も監督時代に入部した1人だ。

     同社は06年から日本車いすバスケットボール連盟を皮切りに、14年から日本障がい者スポーツ協会、16年から日本身体障がい者水泳連盟に協賛。大会観戦者が少なかったため、「応援から始めよう」と呼び掛け、最近は1年間に約20大会、延べ1600人の社員が観戦する。17年度からは、有望な学生パラ選手の育成を狙い、学費に相当する金額を支援する「パラアスリート・スカラシップ」制度を創設した。

     雇用に際し、国内約630カ所ある支店や営業所などを生かし、選手らは入社前からの練習拠点を保ちながら勤務する。例えば、午前中は職場でデスクワークをし、午後はトレーニングや練習に向かう。倉田は「地域交流などを通じ、地元の方にも育ててもらえる」。個人差はあるが、1人当たり年収300万円程度に加え、遠征や用具代などに充てる補助金30万~150万円が与えられる。引退後は、正社員への道も開かれている。

     リオパラで競泳に出場した宮崎哲(知的障害)は北海道支店で事務補助を担当。母義恵は「指導係の先輩が親切に哲の様子を見て、仕事を進めてくれる。就職後は、知人だけでなく、同僚の応援も得て、もっと頑張ろうという気持ちが生まれたと感じる」と話す。

     同社従業員は約1万7600人。選手採用だけで法定雇用率が保てるわけではない。だが、倉田は「選手が同僚になってスポーツへの関心が高まり、社員の一体感が生まれた」と語る。例えば、福岡支店勤務のデフサッカー日本代表、松元卓巳は終業後に会議室で手話教室を開き、参加者が増えた。

     だが、2けたのパラ選手を雇用する企業は国内ではまだ少ない。倉田は「同じ方向を見て、一緒にパラスポーツを盛り上げる企業や団体が増えてくれれば」と願う。(毎日新聞社オリンピック・パラリンピック室委員、山口一朗)=敬称略

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