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東大史料編纂所長に保谷徹教授 「伝統と最先端 融合」

保谷徹氏=栗原俊雄撮影

 幕末維新史の第一人者、保谷徹・東京大教授(61)が4月、東京大史料編纂(へんさん)所の所長に着任した。前身である史料編纂掛以来33代目、教員や事務、技術職員ら約150人のトップとなった。

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     同所の歴史は江戸時代の和学講談所までさかのぼる。その事業を継承しつつ、1869(明治2)年に明治政府の修史事業が始まる。そこから数えても約150年の歴史がある。1906年には外務省から『幕末外国関係文書』編纂の事業を引き継いだ。現在の名称になったのは29(昭和4)年。敗戦後の49年には文部省から維新史料編纂事業を継承した。

     『大日本史料』『大日本古文書』などの基幹史料集を1100冊以上刊行してきた。史料は複製による収集が基本だ。模写や写真撮影などで膨大な複製史料が蓄積されている。これらはデジタルアーカイブでの公開を進めている。また約20万点ある原本史料についても、画像によるウェブ公開を行ってきた。

     最新の研究成果を、一般の歴史ファンが見ることができる形で発表することにも積極的だ。たとえば2010年から17年にかけてオーストリアにある膨大な古写真を最新鋭のデジタルカメラで撮影、保谷さんはプロジェクトの代表を務めた。今春、その成果は『高精細画像で甦(よみがえ)る 150年前の幕末・明治初期日本 ブルガー&モーザーのガラス原板写真コレクション』(洋泉社)として刊行されている。「最新のテクノロジーと伝統的な仕事。それをミックスしてやっています」と胸を張る。

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     自身、もともとの専門は近世村落史だ。それが、編纂所に入ったとき、『大日本古文書』の幕末外国関係を担当することになった。以来およそ30年。著作は多く、メディアでコメントを求められることもしばしばだ。

     取材が多いのは、研究者としての力量はもとより、親切さにも理由がある。記者が初めて保谷さんに取材したのは14年前。幕末のある史料が見つかった。「一度見ていただき、ご意見を聞かせてくださいますか」。まったく面識がない記者の依頼を快く引き受けてくれ、しかも所蔵者のところに来てくれた。

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     改めて、編纂所の役割をたずねると「古代から明治維新期まで、各時代の先生方が全国、海外も含めて史料を調査、収集、分析してきました」。ただ、史料を見せてもらうには「足でかせいで、人間関係をつくらなければなりません。地道なことを百数十年やってきました。集めるだけではなく、これを日本史の基幹史料集として編纂、公開しています。歴史学の根っこ、最前線にいるんです」。研究者として、また伝統ある組織の長としての責任感と気概がにじんだ。【栗原俊雄】

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