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街角から

アンデスの悲しみ 北米総局・清水憲司

 アルゼンチンの首都ブエノスアイレスにある国立科学技術研究院で出会った女性研究者、ビクトリア・フレクサーさん(39)の握手は、驚くほどの強さだった。電気自動車(EV)などの蓄電池に使われるリチウム開発の取材に来た私に「リチウムを海外に輸出するだけの現状を変えたい」と熱っぽく語った。

     リチウムより高価な蓄電池が地元で生産できるようになれば、貧しいままのアンデス地域を浮上させられる。そんな夢を抱いて、欧州から舞い戻ったという。

     かつてインカ帝国が栄えたアンデスには、先住民が多く住む。経済開発に取り残された結果、今も電気や水道がない家が少なくない。マクリ政権は経済再生に向け外資を呼び込もうと、長年の課題である財政再建に着手したが、教育予算も削減した。中腹の街パルマルルカで住民に尋ねたところ、小中学校が統廃合されたため、通学に片道何時間もかかるようになり、学校に通えない子供が増えたと知らされた。

     街を歩いていると、太鼓や笛で物悲しい音楽を演奏する先住民の若者の一団がやってきた。標高4000メートルの山頂まで登る伝統行事だという。彼らの未来は明るいだろうか。ビクトリアさんの計画が成功すると信じたいが、まぶしいほど美しい山々のせいで、余計に悲しい音色に聞こえた。

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