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この50年の世界

1968~2018 第4部・パリ五月革命/中 フェミニズム運動進展 セクハラ告発へ続く闘い

フェミニストとして女性の権利拡大運動を続けてきたクリスティーヌ・デルフィさん

 「『無名戦士』よりも無名なのは、その妻だ!」

     1968年の「五月革命」から2年後の70年8月、クリスティーヌ・デルフィさん(76)は設立間もないフェミニスト団体「女性解放運動」(MLF)の仲間たちとパリの凱旋(がいせん)門に向かってデモ行進した。目指したのは凱旋門の地下にある身元不明の戦死者の「無名戦士の墓」。皮肉を利かせた横断幕を掲げるデルフィさんらフェミニストのパフォーマンスは、メディアで大きく取り上げられた。

     女性の解放と権利拡大を目指すフェミニズム運動は、フランスでは第二次大戦後に広がり始め、65年には夫の許可無く銀行口座の開設や就労が可能となった。そして、68年の五月革命が大きな進展の契機となったと評価される。「フェミニスト以外の女性も自分たちの思いや願望を自由に語り合い、社会に訴えかけることができる貴重な機会だった」。デルフィさんは「革命」をそう振り返る。

     パリ第2大学のビビア・パバール准教授(仏現代史)は「社会、学校、家庭などあらゆる場所で『女なら』という抑圧を受けていた」と当時の女性の立場を説明。五月革命自体は男性主導だったとしながらも「五月革命に結集した女性らは、不満を共有し、女性による女性のための運動の必要性を認識した」と話す。

     フェミニズム運動の活発化は▽収入格差を是正する男女給与平等化(72年)▽女性の地位向上担当大臣の創設(74年)▽妊娠中絶の合法化(75年)--につながっていった。

     「革命」から半世紀。女性の尊重を巡って新たな議論がフランスで表面化した。米映画界などで問題となり世界的に広がったセクハラ告発の動きについてだ。

     セクハラ糾弾の流れが強まる中、フランス人女優、カトリーヌ・ドヌーブさん(74)が「(男性からのアプローチを)断る自由があるのと同時に、(男性が女性に)言い寄る自由もある」として、「行き過ぎた追及」とセクハラ告発の動きを批判する連名の意見書を公開した。セクハラ行為容認のようにも捉えられ、物議を醸した。波紋が広がったためドヌーブさんは仏紙に書簡を寄せて性被害に遭った女性に謝罪をしたが、意見書の趣旨は撤回しなかった。

     ドヌーブさんは妊娠中絶が違法だった71年、デルフィさんら300人超の女性が署名した中絶容認を求める宣言書に署名した「革命世代」の一人。セクハラ糾弾の流れにあえて異論を唱えたのは、五月革命の参加者が求めた個人の自由への強いこだわりからとも言えそうだ。仏紙への書簡をドヌーブさんはこう締めくくった。「私は自由な女性であり、今後もそう在り続ける」

     一方、フランスの女性史研究家、ミシェル・ペローさん(89)は、ルモンド紙のインタビューで、セクハラ告発の動きについて「(革命後の)70年代のフェミニストらが訴えた『私の体は私のもの』と同じことを言っている。今も女性の闘いは続いている」とドヌーブさんの主張に異議を唱える。女性の権利を巡る議論は「革命」を経て今も続く。【パリ賀有勇】

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