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社説

日中の海空連絡メカニズム 適切に運用し衝突回避を

 自衛隊と中国軍の偶発的衝突を防ぐ「海空連絡メカニズム」の運用が6月8日から始まることになった。

     尖閣諸島周辺海域における中国公船の活動が常態化する中、相互の艦船・航空機が接近した際に連絡を取り合うルールが確認された。日中間の危機管理システムとして適切に運用していくことが重要だ。

     交渉開始が決まったのは第1次安倍政権当時の2007年だ。11年越しの合意は、昨年の安倍晋三首相と習近平国家主席との首脳会談以降続く関係改善の流れの中で実現した。

     協議がここまで長引いたことが日中関係の難しさを物語る。

     いったん基本合意に達した12年には日本政府が尖閣諸島を国有化したことに中国側が強く反発し、2年以上も協議できない状況が続いた。

     その間、東シナ海では13年に中国艦船が海上自衛隊の護衛艦に火器管制レーダーを照射し、14年には中国軍機が自衛隊機に異常接近した。一触即発ともいえる日中間の緊張に国際社会の懸念が高まった時期だ。

     東シナ海の現場で中国軍と対峙(たいじ)する海空自衛隊の負担は重く、日本側は連絡メカニズムの早期合意を働きかけてきた。尖閣諸島をめぐる政治対立が解けたわけではないが、不測の事態を回避する危機管理の面でようやく歩み寄りが実現した。

     ただし、適用範囲に尖閣諸島が入ることを明示すると、中国軍の侵入を前提としたように受け取られかねない。日本側は領海・領空の除外を主張したが中国側は受け入れず、範囲は示さないことに落ち着いた。

     連絡を取り合うルールは、西太平洋で活動する日米中など21カ国の海自・海軍間で14年に合意した海上衝突回避規範などに基づく。航空自衛隊・中国空軍も含め、日中間の正式な連絡方法として実効ある形で運用を積み重ねていく必要がある。

     尖閣諸島周辺では中国側の挑発的な活動が続いており、衝突の危機は消えていない。中国側が東シナ海で13年に設定した防空識別圏も懸念材料として残ったままだ。

     メカニズムには防衛当局間のホットライン開設と年次会合開催も盛り込まれた。具体化はこれからだが、日中政府間の信頼醸成につながることが期待される。東シナ海を「対立の海」にしてはならない。

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