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十和田湖に眠る活火山に備えろ

過去の噴火で形成されたカルデラに水がたまってできた十和田湖=一宮俊介撮影

 青森、秋田両県にまたがる深緑色の「十和田湖」。新緑や紅葉が美しい奥入瀬渓流とともに観光名所として知られるが、湖の下に大規模噴火が起きる可能性がある活火山「十和田火山」が隠れていることはあまり知られていない。噴火すれば岩手県を含む北東北3県に甚大な被害をもたらすおそれがあり、自治体の広域的な連携による対策が求められている。

     ●積雪期なら泥流も

     青森、秋田両県などでつくる「十和田火山防災協議会」は今年1月、十和田火山が噴火した場合、災害が発生する可能性が高い範囲を示した想定図(ハザードマップ)を初めて公表した。マップ作製にあたっては、噴火が起きる範囲として十和田湖に半径3・4キロの火口を想定。過去1万1000年間に十和田火山で起きた噴火を参考に、大、中、小の三つの規模を仮定し、被害が及ぶ範囲を予測した。

     大規模噴火では、火砕流や火砕サージ(火山灰や火山ガスが混じった高温の熱風)が火口から最長で30キロ離れた場所にまで到達。その範囲には青森市や秋田県大館市、岩手県二戸市など17市町村が含まれる。積雪期には、火砕流などの熱で雪が溶けて大量の水になり、岩石や倒木とともに流れ下る「融雪型火山泥流」が発生。青森県八戸市や秋田県能代市の海岸部など、火砕流や火砕サージが到達しない13市町村にも被害が及ぶと想定した。

     中規模噴火では、火砕流が火口から最長で23キロ先に到達。小規模噴火でも、噴石が火口から4キロの範囲に飛び散ると想定した。

     ●北東北3県連携急務

     火山噴火への対応を巡っては、60人以上が犠牲となった2014年の御嶽山(岐阜・長野県境、3067メートル)の噴火を受け、国が翌15年に「活動火山対策特別措置法」を改正。十和田火山を含む全国49火山の周辺地域を「火山災害警戒地域」に指定し、対象自治体に噴火シナリオや避難計画の策定を義務づけた。

     今回のハザードマップ公表もこの流れに沿った動きだが、避難計画策定までの道のりは遠い。十和田火山のように広範囲で被害が想定される場合、避難所や避難ルートは県境を越えて複数の市町村にまたがるため、調整に時間を要するからだ。

     国が指定する火山災害警戒地域は現在、秋田県の小坂町と鹿角市、青森県十和田市の2県3市町だけだが、今回の想定で、岩手県を含む北東北の3県30市町村に災害が広がる可能性が浮上。より広域的な視点での避難計画が求められるため、十和田火山防災協議会は残る1県27市町村にも協議会への参加を呼びかける方針を決めた。

     十和田湖への観光客の対応のほか、山間部に住む高齢者の避難、冬季に一部閉鎖される道路の迂回(うかい)路など、条件も多岐にわたる。青森県防災危機管理課の豊島信幸課長は「計画を作ることが難しいのは確かだが、作らないリスクよりも作って難しさを共有する方が、住民の安心安全につながる」と話す。

     ●原発関連施設も対策

     青森県では、火山噴火による原発関連施設への影響も懸念される。今回のハザードマップでも、原発関連施設が集中する下北半島で降下火砕物(火山灰や軽石)が10~100センチ積もる可能性が指摘された。

     東北電力や日本原燃などの事業者は、東京電力福島第1原発事故で運転を停止するなどした施設の再稼働や工事再開に向けた原子力規制委員会の審査のため、独自に噴火の影響を調査している。使用済み核燃料再処理工場(同県六ケ所村)を建設している日本原燃は、今回の想定には含まれていないカルデラを形成するほどの巨大噴火の可能性を含めて調査。「施設運用中にカルデラ形成を伴う大規模噴火が発生する可能性は十分に小さい」としつつ、巨大噴火の兆候があれば施設内の使用済み核燃料を搬出するなどと説明している。【一宮俊介】

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