「再思三省(さいしさんせい)」とは何度も考え、何度も自らを省みること。実際に紙面に登場した事例などをひきながら、月1回、三つずつのテーマで気をつけたい事柄をつづっています。なお、この中には必ずしも一般的に間違いとはいえないものもあります。読者への配慮や紙面上の統一などの点から決めているものは、理由とともに示しています。
どうして化けた
追微金 → 追徴金
形は似ていても読みの違う字がどうして入ったのか不思議です。別の日は「国税庁長官を微税のトップに厚遇」と、徴税が微税に化けていました。活字を拾い手作業で版を組んでいた時代を思わせるミスですが、もしや「徴」を「び」と間違えて入力したのでしょうか。驚くことに国税庁のホームページにも「追微」が出現しています。チェックするときは変換ミスばかりを疑わずに、先入観なく一字一字見る必要がありそうです。
まとまりで変換がコツ
人身一新を図る → 人心一新を図る
内閣や与党幹部などの人事でよく使う言い回し。心を入れ替えるのでなく、人間を交代させるのに「人心」と書くのは、「世の人々の気持ちや考え」(明鏡国語辞典)、つまり世論の風向きなどが変わることを願う表現だからです。入力時に「じんしん」と「いっしん」に分けてしまうと、どちらも同音の変換候補が多数。「じんしんいっしん」とまとまりで変換すれば、誤りの可能性はかなり低くなるはずです。
人生いろいろ、歴任もいろいろ
○を歴任 → ○などを歴任、○を務めた
人物の略歴の要注意点。「歴任」はいろいろなポストを務めてきたという意味なので、一つ挙げるだけなら不適切です。また略歴の「出身」の使い方も問題になります。「△出身」というと、△が出生地なのか、幼少年時長く過ごした地なのか、はたまた卒業時点の地なのかが曖昧です。出生地が確認できれば「□年、△生まれ」と書くとすっきりします。