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社説

マレーシア初の政権交代 強権排する民意の反映だ

 マレーシアの総選挙で、野党連合・希望連盟が勝利し、野党を率いたマハティール氏が首相に就任した。独立以来、初めての政権交代だ。

     ナジブ前政権の強権的な政治手法や汚職体質に国民がノーを突きつけた結果といえよう。

     マハティール氏はかつて、22年間にわたり首相を務め、在任中、高い経済成長を成し遂げた。ベテラン政治家の手腕に期待したい。

     マレーシアは1980年代、日本などに学ぶ「ルックイースト(東方)」政策を掲げた。東南アジアの経済発展をけん引し、民主化も進んでいるように見えた。

     しかし、ナジブ前政権は強権的な統治に後戻りする手法を次々に打ち出した。選挙直前には、野党の活動停止や与党に有利な選挙区変更、フェイク(偽)ニュース対策法成立など、なりふり構わぬ手法で異論封じ込めを図った。

     背景には、民主化の旗振り役だった米国の存在感低下と、中国の影響力拡大がある。「米国第一主義」を掲げるトランプ大統領はこの地域への関心が薄い。一方、中国は人権問題に口を出さず、積極的な投資で経済発展を後押ししている。

     民主化が逆行する事象はマレーシアだけにとどまらない。タイでは軍事政権が復活し、フィリピンは麻薬撲滅運動で人権侵害が問題視される。カンボジアでは最高裁判所が最大野党を解散に追い込んだ。

     ナジブ前政権は中国への肩入れが目立っていた。大型インフラ投資計画で中国の全面的な協力を得たり、現代版シルクロード経済圏構想「一帯一路」に積極的に協力していた。

     マハティール氏は中国優遇の見直しを訴えてきた。今後は中国と一定の距離を取ろうとするだろう。

     ただ、地域全体が中国と緊密化を図る中、それは容易ではない。かつて開発独裁を進めたマハティール氏が、どこまで改革に取り組めるか不透明でもある。

     こうした状況で、日本外交の役割は増している。東南アジアとは良好な関係を築いてきたが、近年は中国に押され影響力が低下している。

     中国と協調を図りつつ、東南アジアが民主的に経済発展を遂げていくよう、今後も積極的に関与していくべきだ。

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