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社説

大学奨学金の「出世払い」案 門戸広げる議論の加速を

 大学進学の意欲はあるものの、家庭の経済状況が壁となってためらうケースは多い。幅広く若者を支援できる方策を、どう考えるか。

     大学などの授業料を国が学生に代わって給付する制度の原案を、自民党の教育再生実行本部がまとめた。

     本人が就職後、所得に応じて国に返済する。所得がない場合は返さなくてもいいため、奨学金の「出世払い」方式と言われる。

     子供が大学などへ進学する際、学費負担は家計に重くのしかかる。このため大学進学者の2人に1人が奨学金を利用している。

     住民税非課税世帯を中心とする低所得の家庭への進学支援については、返済が不要な給付型奨学金が、昨年度から導入されている。

     ただし、通常の奨学金は返済が原則だ。数百万円の返済額を抱え、支払いに苦しむケースもある。中間所得の家庭であっても、学費負担は重いというのが実態だろう。

     自民党案はオーストラリアが導入している制度がモデルだ。学生らを対象に、国が入学金約28万円のほか、国公立大は約54万円、私立大は70万円か120万円を肩代わりする。

     対象世帯の年収上限は、現在の利子付き奨学金支援の上限である1100万円程度とし、保証人は不要だ。所得はマイナンバーで把握し、課税所得に達しなければ、その期間は返済しなくてもよい。

     「出世払い方式」は給付型に比べ、支援対象を広げやすい利点があるといえるだろう。だが、実際に制度を設け導入するのであれば、多くの課題もある。

     まず、財源の調達だ。自民案は財政投融資の資金をあて込むが、年間9800億円が必要と試算する。長期間低金利の資金だが、金利次第では追加負担を要する。

     保証人がいないため、返済できない場合に誰がどう、穴埋めするのか。これまでのタイプの奨学金と併存させるかも課題になるだろう。

     定員割れするような大学への安易な救済策に陥る懸念もある。学費の見直しなど、支援拡充は大学教育改革と一体で行うべきだ。

     意欲ある人材が進学できることは、最終的には社会の基盤強化にもつながる。自民案をきっかけに、環境を整備する議論を加速すべきだ。

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