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読書日記

著者のことば 服部暢達さん 仲介役が描く舞台裏

服部暢達さん

 ■ゴールドマン・サックスM&A戦記 服部暢達(はっとり・のぶみち)さん 日経BP社・1944円

     M&A(企業の合併・買収)の「陰の主役」といえるのが、助言業務を行う投資銀行のM&Aアドバイザーである。著者は、ゴールドマン・サックス(GS)時代にDDI・日本移動通信(IDO)・KDDの3社合併、NKKと川崎製鉄の合併など、大型案件を担当。その理論的な助言から「伝説のアドバイザー」と呼ばれる人物だ。

     アドバイザーは企業秘密を扱うこともあり、その活躍の実態はあまり知られていない。「GSを辞めて15年になるので、どの案件も時効かなと。しかし数字などは公開情報を中心に気を使って書きました」

     例えば、1999年12月に発表したDDI・IDO・KDDの3社合併の際には、DDIのアドバイザーを務めた。京セラ系のDDIとトヨタ自動車が大株主のIDO・KDDという企業文化の全く異なる企業の仲介役として、難航する交渉をまとめあげた姿など、大型M&Aの舞台裏を臨場感ある文章で伝えている。

     アドバイザーは交渉をまとめて成功報酬を得るので、強引に案件を成立させる方向に持っていきがちという批判がある。しかし、本書で「ロング・ターム・グリーディー(長期的にがめつくなれ)」というGS社内のモットーが紹介されているのが印象的だ。これは、目の前の成功報酬に目がくらみ、長期的に顧客の信頼を失うのではなく、顧客のためにベストのアドバイスをするという考え方だ。「かつてのGSには、この考えが根強くあった。企業に対して『このディール(取引)はやめた方がいい』とアドバイスをしたこともある。その会社とは長い付き合いになりましたね」

     DDIのアドバイザーとして仕えた京セラの稲盛和夫名誉会長など、多くの経営者と密接に仕事をする機会に恵まれた。その経験から「日本の経営者は欧米に比して全く引けを取らない素晴らしい方々が山ほどいる。日本企業は、もっと自信を持っていい」と語る。

     現在は、早稲田大学大学院などで教えるほか、ファーストリテイリングの社外取締役などを務めている。米国型の良い面、悪い面を熟知し、日本の資本主義の正しい姿を啓蒙(けいもう)することに力を注いでいる。<文と写真・山口敦雄>

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