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鶴橋康夫監督 「理不尽」今に通じる 構想30年、映画「のみとり侍」

鶴橋康夫監督=梅村直承撮影

 江戸時代、飼い猫ののみを取って日銭を稼ぐ商売があったという。18日公開の映画「のみとり侍」では、「それは表向きの口実。実は飼い主の家に上がり込み、女性の心と体を癒やす添い寝業だった」という大胆な設定で、裏稼業に身をやつした侍が悪戦苦闘する姿を描く。

     原作は小松重男の小説。鶴橋康夫監督は「江戸時代の変わった職業や最下層の人々に光を当てる小松作品の大ファン。約30年前から映像化したいと思い続け、原作を持ち歩いていた」と話す。今回は脚本も手がけ、笑いあり、涙あり、お色気もあり、の大人のエンターテインメント時代劇となった。

         ■  ■

     主人公はエリート藩士の寛之進(阿部寛)。歌会で殿様の歌に正直な感想を述べて不興を買い「のみ取りになってぶざまに暮らせ」と命じられた。学問も剣術も通用しない世界に放り出され、亡き妻にうり二つの客、おみね(寺島しのぶ)には技量のなさを罵倒される。

     パワハラ、リストラなど、働く者の誇りや尊厳が踏みにじられる昨今。時代劇ながら現代に通じるものを感じる。「権力を持つ者がいいかげんで理不尽なのは、昔も今も変わらないのかもしれないね。僕もサラリーマンの経験があるから身につまされるよ」としみじみ。

     それでも寛之進はのみ取り連中を束ねる親分(風間杜夫)や江戸一番の色男、清兵衛(豊川悦司)の指南を受け、愚直に一人前ののみ取りを目指す。

     「庶民が理不尽にあらがうには、仲間と助け合ったり、愛する人と支え合ったりするしかないんです。人は一人では生きられない。それもまた、いつの時代も変わらぬ真実」。全編を貫くメッセージだ。

         ■  ■

     1940年生まれ。大学卒業後、読売テレビ入社。「永遠の仔」などの連続ドラマや、松本清張原作の単発ドラマなどの演出を担った。定年後に映画を撮り始め、「愛の流刑地」(2007年)「後妻業の女」(16年)などをヒットさせた。

     主演の阿部と仕事をするのは、07年に演出したドラマ「天国と地獄」以来。「撮影中、役柄について語り合うと、僕のイメージをはるかに膨らませて演じてくれた。この10年の彼の成長が実感できて、うれしかったなあ」と師のように話す。

     「どんな作品でも、撮りながら続編を考えてしまう。この主人公はこの先、どんな人生を送るんだろうな、なんて」。創作意欲は尽きることがない。【小林祥晃】

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