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アホウドリ

我孫子の野鳥彫刻家・内山さん、鳥島の絶滅危惧種救う 模型制作で復活計画に一役 /千葉

 我孫子市の野鳥彫刻家が制作した鳥模型のデコイが、東京の南600キロの鳥島に生息する絶滅危惧種のアホウドリの復活計画に一役買った。デコイで安全な場所に誘い出して繁殖数を増やす環境省の事業で活用され、今月推定個体数が5000羽を超え、絶滅の危機を脱しつつある。鳥をおびき寄せて殺す道具だったデコイが保護活動に使われたことに、制作した内山春雄さん(68)は「私の彫刻の技術が保護に役立ちうれしい」と喜んでいる。【橋本利昭】

     内山さんは13日、功績が認められ、「全国野鳥保護のつどい」(日本鳥類保護連盟など主催)で、同連盟総裁賞に選ばれた。内山さんは伝統品の木象嵌(もくぞうがん)の彫刻家だったが、野鳥彫刻のバードカービング制作に転身。会員5万人の日本バードカービング協会長を務める野鳥彫刻家の第一人者だ。

     内山さんがアホウドリの保護計画を知ったのは1990年ごろ。ラジオで、東邦大の長谷川博名誉教授(69)が、米国の海鳥ニシツノメドリの保護活動をヒントに、アホウドリのデコイを使って人為的に移動させようとしていることを知り、協力を申し出た。

     内山さんはさまざまなバリエーションの実物大(体長70センチ以上)の木型を作るため、胴体、頭部、脚部のパーツをそろえ、頭部を付け替えたり、足を取り外したりして立型、求愛型、抱卵型の三つの木型を3カ月かけて制作した。この木型を基に専門会社が強化プラスチック製のデコイ95体を作った。

     鳥島では、地滑りが起きやすい南東側の急斜面で生息していたアホウドリを、より安全な場所に誘導するため、92年に西側の緩斜面にデコイを設置し、鳴き声の音声も流し、集まりやすい環境を作った。93年には長谷川教授の提案を取り入れた環境省の保護増殖事業がスタート。すると、95年には一つがいが産んだ1個の卵がふ化し、翌年巣立った。その後、徐々に緩斜面でのコロニー形成が進み、島の繁殖数も増加。長谷川教授の調査で今月には1年前に比べ約500羽増え、5165羽となった。

     アホウドリの研究を約40年してきた長谷川教授は「デコイはアホウドリの誘引には有効。鳥島で個体数が5000羽を超え、9年後には1万羽に増えると予測され、かなり安心できる状況になった」と分析。今後は「感染症などのリスクを避け、尖閣諸島、小笠原諸島を含めた計3カ所で集団繁殖すれば絶滅の危機を完全に脱するようになる」と話す。

     内山さんは「当時はデコイで保護なんて誰も信じなかった。28年たって成功し、ありがたい」と話している。


     ■ことば

    アホウドリ

     日本最大級の海鳥。伊豆諸島や小笠原諸島以西の島々で繁殖していたとみられるが、明治期に羽毛採取のために約500万羽が乱獲されたとされる。最後の繁殖地となった伊豆諸島・鳥島で、1949年、連合国軍総司令部(GHQ)の鳥類学者が絶滅宣言した。だが、51年に鳥島測候所職員が10羽の生存を確認。繁殖が確認されているのは鳥島と尖閣諸島のみで、環境省などが保護・増殖活動をしている。

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