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我らが少女A

/281 第8章 2=高村薫 田中和枝・挿画監修

少女A281回

 結局、母を殺したのは上田朱美なのか、違うのか。雪子は、自分が肝心のことを刑事に尋ねなかったことにあとから気づいたが、とくに後悔もなかった。犯人が分かったところで何かの区切りになるわけではなく、宙吊(づ)りのままでは何も前に進まないということもないとなれば、分かっても分からなくても大差ないということだ。そう納得し、夜勤明けの休日にはまた木更津の病院までそそくさと出かけてゆく。動けない病人の代わりにアパートの家賃や公共料金の支払いもあるし、先週はがん保険の請求手続きもした。預金通帳と判子を預けられることには抵抗もあったが、誰かに頼られていることが自身のエネルギーになっている実感もないことはない。

 上田亜沙子の卵巣がんは、もともと化学療法がよく効く漿液(しょうえき)性腺がんだが、二クール終えた時…

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