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2018春/4 戦争被害者が連帯を 日本被団協事務局長・木戸季市さん(78)

 「二度と戦争を起こさせないために、沖縄戦の被害者や空襲被害者と共に戦争全体の被害を償う仕組みを作っていきたい」。5歳の時、長崎市で被爆した木戸季市さん(78)は力を込める。日本原水爆被害者団体協議会(日本被団協)の事務局長になって1年。安倍晋三首相が憲法9条改正に意欲を示す現状を前に、日本被団協の運動方針として初めて、戦争被害者の連帯を呼びかけようとしている。

     日本被団協は結成から60年以上、国家補償を求めてきた。だが、国は元軍人や遺族に累計60兆円超の補償を行う一方で、民間人には「戦争による一般の犠牲」として「戦争被害受忍論」を貫いた。木戸さんは「お金の問題ではない。国に責任を認めさせなければ、戦争を起こさせない仕組みは作れない」と憤る。医療費などを支給する「被爆者援護法」は成立したが放射線障害への社会保障の意味合いが強く、遺族も対象の国家補償ではない。被爆者の高齢化が進み、組織の存続も危ぶまれる中、木戸さんは「どうすれば受忍論を打ち破れるか」と焦りを募らせてきた。

     運動のあり方を考えるきっかけがやってきたのは、2016年のことだ。結成60年の事業として、同じく国家補償を求める沖縄戦の被害者との交流を始めた。同年12月、「沖縄交流ツアー」と称して他の被爆者と沖縄を訪れた。

     「恥ずかしながら、学ぶまで知らなかった」。沖縄戦では、日本軍に壕(ごう)から追い出された人々が「壕を提供した戦闘参加者」と事実をゆがめられ、「準軍属」として「戦傷病者戦没者遺族等援護法」を適用されていた。一方で、第三者の証言がない人や「協力していない」と主張する人は適用外となり、被害者は分断された。

     法律制定を求める空襲被害者も放置されたままだ。「違いはあるが、受忍論を強いられている状況は同じ」。日本被団協の今後を考える中でその思いを強めてきた。

     5月3日、東京都内で開かれた憲法記念日の護憲派集会に登壇し、「自衛隊が憲法に明記されれば、日本は戦争をする国になる」と訴えた。「戦後ではなく、戦前のにおいがしてきている。今、戦争犠牲者が黙ってはいられない」<文・竹内麻子 写真・太田康男>=つづく


     ■人物略歴

    きど・すえいち

     1969年から現在の岐阜聖徳学園大短大部(岐阜市)講師。岐阜県原爆被爆者の会の事務局長を91年から務め、2017年6月から日本被団協事務局長。同市在住で同短大部名誉教授。

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