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社説

新しい財政健全化計画 とてもその名に値しない

 1000兆円超の借金をどう減らし、超高齢化社会を乗り切っていくのか。その答えになっていない。

     政府が来月の決定に向け検討中の新しい財政健全化計画のことだ。

     従来の計画は、借金に頼らず社会保障などの経費を賄う基礎的財政収支の黒字化を2020年度に達成するという目標を掲げていた。だが安倍晋三首相は昨年、目標を延期し新しい計画をつくると言い出した。

     その際に首相は少子高齢化を「国難」と呼び、「財政再建の旗は降ろさない」と強調した。それならば新計画では目標をできるだけ遅らせず、将来世代につけを回さない財政の姿を明示する責任があるはずだ。

     ところが、明らかになっている計画の内容は問題だらけである。

     まず目標を25年度と5年も先送りすることだ。

     25年は団塊の世代がすべて75歳以上となり、社会保障費が大幅に膨らむ時期だ。これに合わせて健全化を図るとアピールしたいのだろう。

     しかし3年前の22年には社会保障費の拡大が加速し始める。その年から団塊の世代が段階的に75歳になっていく。膨張に早く歯止めをかけなければ、将来へのつけがどんどんたまっていくばかりである。

     しかも社会保障費を抑える数値目標も見送る方針だ。従来の計画には盛り込んでいたが、来年の参院選をにらんで与党が抵抗したという。これでは財政規律がさらに緩んで、ばらまきになりかねない。

     さらに疑問なのは、現状をはるかに上回る経済成長が続く甘い見通しを前提にしていることだ。

     高成長ほど税収も多く見込める。首相は従来も痛みを伴う歳出抑制にほとんど手をつけてこなかった。今後も成長頼みを続けたいのだろう。

     だが税収が確保できないと健全化計画は土台から揺らぐ。従来計画が目標を達成できなかったのも高成長を当てにしたためである。

     政府の危機感が乏しいのは、日銀の異次元緩和で低金利が長期化しているからだ。しかし異次元緩和は経済をゆがめる劇薬である。いつまで続けさせるつもりなのか。

     首相は深刻な財政にきちんと向き合う必要がある。現実的な経済見通しに立脚したうえで歳出抑制に本格的に取り組む計画にすべきだ。

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