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余録

災害や疫病などによっても元号が変わった昔…

 災害や疫病などによっても元号が変わった昔、室町時代の後花園(ごはなぞの)天皇は36年の在位の間に8度も改元しているという。一世一元の制となった明治より前は、平均すると5年に1度は改元していることになるそうだ▲こう改元が頻繁(ひんぱん)だと庶民には元号は縁遠いものだったが、こんな狂歌もある。「年号は安く永しと変われども諸色高直(しょしきこうじき)(なんでも値上がり)今にめいわ九(く)」。明和9(1772)年の安永への改元に諸物価高騰の迷惑をからめている▲「上からは明治だなどというけれど治明(おさまるめい)と下からは読む」。これは新政府の開化政策に反発する江戸っ子の胸の内を詠んだ狂歌である。さて来年5月の改元は長い準備期間のある点で日本史上初めての新元号になる▲政府は来年の新元号の公表時期につき、改元の1カ月前を想定して準備を進めるという。各省庁のシステム改修が約1カ月でできる見通しが立ったためらしい。それは分かったが、では「下」、いやいや国民の都合は聞いてのことか▲企業がシステム改修を委託するIT業者は殺到する依頼をさばかねばならない。思わぬエラーに備えたシステムの検証にも時間は必要だろう。本格的IT時代に迎える初の改元とあれば、せっかくの準備期間は十分に生かしてほしい▲最終的な公表時期は、新元号を国民の生活に根ざすものにしたいと語る首相の判断に委ねられそうだ。まずは「めいわく」や「おさまるめい」の声にもていねいに応えてもらいたい21世紀の改元である。

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