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森健の現代をみる

これからの日本の安全保障 今回のゲスト 冨澤暉さん(その2止)

米国と情報管理一体化 リスク大きくないか

 森 集団安全保障も手段の一つである、と。

     冨澤 今や各国が協力して世界の平和を維持、拡大する時代です。集団安全保障というと全て国連のことと誤解されるかもしれませんが、たとえばPKOやイラク復興支援・海賊対処等の多国籍軍、更には有志連合軍参加、海外の津波や地震など自然災害への支援なども、広い意味での集団安全保障活動です。こういう時代に、「日本の軍隊は自衛以外のことはやりません」といった、利己的な態度を世界に示すべきではありません。自衛隊は既に国民から認められていますが、我々は海外からも国際標準の組織として認めてほしいんですよ。

     森 自民党は12年4月の新改憲草案で、「国防軍」と改めました。

     冨澤 国民の間には、「軍」という言葉には今でも抵抗感があるでしょう。それならば、Defense Force(防衛隊)でもいい。ともかく利己的な「セルフ」だけは外してほしい。

     森 自衛隊は合憲とされていますが、安倍晋三首相は昨年5月、自衛隊を9条に明記する、という条文追加案を提示しました。

     冨澤 私は長らく改憲派ですが、安倍首相の改憲内容でいいとは思えません。「自衛隊」という名称が固定されるのをおそれます。逆に改憲に必要な国民投票をやって否決されたら、全てが否定されることになりかねません。軍隊はいざとなったら海外へでも行く。行かなくてもその姿勢を見せることで、話し合いや経済制裁が有効になる。改憲にあたっては、そのことを国民に説明した上で進めるべきです。

     森 改憲議論を進めるならば、政治的な手柄のためではなく、自衛隊の存在と安全保障の本質から議論をしてもらいたいですね。


    キーワード

     注<1>=アフリカ・ソマリア沖の海賊対処のため自衛隊は2011年、ジブチに基地を設置した。

     注<2>=1992~93年、戦後初めて地上部隊を海外へ派遣。停戦監視やインフラ整備などを行った。

     注<3>=人口当たりの普及率は、スイスはおおむね100%、日本は0.022%程度と推計されている。


    対談を聞いて

     記者が大学で政治史を学んでいた30年近く前、自衛隊に対しては厳しい批判が根強かった。しかし国内外での活動が広まるにつれ、現在は国民に広く認められている。冨澤さんは、過去の厳しい批判を知っているだけに、自衛隊が受け入れられていることに誇りを持っているように感じた。また、国際社会の中で生きるためには武力が必要だという一貫した主張には、その場しのぎの解釈改憲にはないリアリズムの説得力があった。【栗原俊雄】


    森健さん=手塚耕一郎撮影

     ■人物略歴

    もり・けん

     1968年生まれ。早稲田大卒。在学中からライターを務めた。2012年『「つなみ」の子どもたち』で大宅壮一ノンフィクション賞、17年には『小倉昌男 祈りと経営』で大宅壮一メモリアル日本ノンフィクション大賞を受賞。

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