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社説

イタリアにEU懐疑派政権 欧州不安定化を増幅する

 イタリアで欧州連合(EU)に懐疑的な二つの政党による連立政権が誕生する見通しとなった。

     ポピュリズム(大衆迎合主義)政党で知られる「五つ星運動」と極右の「同盟」だ。ともに3月の総選挙でEUを攻撃対象としていた組み合わせとなった。欧州にまた頭痛の種が増えたといえる。

     五つ星運動は既成政治を批判し、インターネットを駆使して支持を広げてきた新興政党だ。左派に支持者が多く、EUの財政緊縮策を嫌い、以前は共通通貨ユーロからの離脱を主張したこともあった。

     同盟はもともと北部が拠点の地域政党で、「不法移民の強制送還」など移民排斥を強く唱え、EUの難民・移民受け入れ策に反発してきた。

     本来は政策的に異なる両党だが、EUに懐疑的な立場で一致し、多数派を形成した。連立協議では両党代表がけん制し合い、妥協する形で政治経験のない法学者のジュセッペ・コンテ氏を首相候補に抜てきした。

     EU側の懸念は多い。まず新政権がEU政策に反する厳格な移民・難民規制を打ち出しそうなことだ。イタリアは中東やアフリカから欧州へ向かう難民の入り口だ。強権的な送還が行われれば、深刻な人道問題に発展する恐れがある。

     経済政策でもEUの財政規律ルールに挑もうとしている。法人・個人所得税の大幅減税の一方、失業者らへの最低所得保障など歳出を拡大し、バラマキ政策を実行する方針だ。

     イタリアの政府債務の残高は国内総生産(GDP)比130%を超え、ユーロ圏でギリシャに次ぐ高さだ。支出拡大の余裕はないはずで、金融危機を危ぶむ声すら出ている。

     独仏に次ぐユーロ圏3位の経済国が規律の足並みを乱しては、マクロン仏大統領が進めようとする同圏の統合深化も停滞することになろう。

     また、両党は政策合意でロシアを「脅威でない」と位置づけ、EUの対露制裁の解除を掲げている。EUに加え主要7カ国(G7)内でも不和を生じさせかねない。

     EU内では今、移民政策などをめぐり西欧と東欧の対立が露呈し、従来以上に結束と協調が求められている。イタリアが穏健路線からかじを切ってしまっては、欧州はますます不安定になるだけだ。

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