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雨のち晴れ

転職した会社、すぐ買収され アクサ損害保険社長兼CEO ハンス・ブランケンさん

来日前のブランケンさん(左)。2011年にCEOとなったベルギーのアクサ子会社で同僚と(アクサ損保提供)

つらい人事調整に評価

 ベルギーの大学を卒業後、金融機関で法務や人事担当として経験を積み、2006年に地元の保険大手に幹部として転職しました。ところが、移ってすぐ、この会社は仏保険大手アクサに買収されました。栄転だったはずが一転、私の居場所はなくなり、与えられたのは社員の異動調整という大変な仕事だったのです。

     06年に転職したのはウインタートウルというスイスの保険大手のベルギー法人で、経営幹部として人事ディレクターに就任。それまで銀行の人事採用責任者だった経験が買われたわけです。それが転職からわずか2週間後、アクサが買収を表明。銀行の同僚から「退職したのはばかげており、間違いだった」と笑われました。別の同僚には「戻ってこないか」と誘われました。

     銀行での好待遇を自ら捨てたばかり。「もうどこにも行けない袋小路に入ってしまった」と大きなショックを受け、「自分の決断は正しかったのか」「家族につらい思いをさせてしまうのではないか」と自問しました。

     わずか2週間しか働いていない私が、買収された会社に幹部として残れるはずがないのは分かりきったこと。それでも私は会社に残り、人事ディレクターとして自らの職責を果たそうと決断しました。それから7カ月間、社員がどの部署に移れるかを調整。全社員が希望部署に異動できるわけではないため、社員と会社の板挟みになりました。また吸収合併時は全ての取締役らが残れるわけではありません。彼らの転職もサポートしました。

     06年末にこれら精神的に最もつらい人事の仕事が完了。私自身も会社を去る決意をし、準備していました。幸運にも違う業種の会社から引き抜きの誘いもありましたからね。

     ところが、アクサから「フランスで仕事をしないか」と思いがけない誘いが。わずか数カ月とはいえ、私の仕事ぶりを評価してくれていたのです。信用してくれたアクサに感謝しました。

     転職後、つらくて仕方なかった人事の仕事でしたが、それが人生のターニングポイントになるなんて。日本のアクサ損害保険の社長として来日するチャンスにもつながりました。

     パリのアクサ本社でも人事ディレクターとして働いた後、11年に地元ベルギーのアクサ子会社の最高経営責任者(CEO)に就任。それまで人事や法務の経験しかなかったので、経営者の仕事に戸惑いました。知らないことも多く、一生懸命に勉強しました。私のように人事出身でアクサグループのCEOになったケースは非常に珍しいでしょう。今年はアクサ損保ができて20周年。日本の保険市場に新しい価値を提案していきたいと思っています。<聞き手・川口雅浩>


     ■人物略歴

    ハンス・ブランケン氏

     ベルギーの大学を卒業後、地元銀行に就職。その後も別の金融機関で人事担当として活躍。2006年に転職した保険大手がアクサに買収され、07年にアクサ本社へ。ベルギーのアクサ子会社CEOを経て、17年から現職。ベルギー出身。51歳。

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