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ポスト・ユンケルは誰か 動き出したEU首脳人事

EU欧州委員会の本部ビル、通称「ベルレモン庁舎」。欧州委員長の執務室は最上階の13階にある=ブリュッセルで2018年5月24日、八田浩輔撮影

 ブリュッセルの欧州連合(EU)本部周辺では2019年後半に任期を終えるEUの主要ポストの人事が話題に上り始めた。なかでも注目されるのがEUの行政執行機関、欧州委員会のトップであるユンケル欧州委員長(63)の後任だ。14年に選出された元ルクセンブルク首相のユンケル氏は、任期満了の19年秋に1期限りで退任する意向を示している。

    ユンケル欧州委員長=ロイター

    ブレグジット首席交渉官に待望論

     シンクタンク「Vote Watch」は4月半ば、EU職員や加盟国外交官などEU事情に通じた1000人以上にEU主要人事を予想させたアンケート結果を公表した。ポスト・ユンケルとして期待する人物に名前が挙がった上位3人と支持率、出身国は以下の通りだ。

    (1)37% バルニエ元フランス外相(67)=フランス

    (2)15% ベステアー欧州委員(50)=デンマーク

    (3)13% ラガルド国際通貨基金専務理事(62)=フランス

    バルニエ元フランス外相=ロイター

     最も高い支持を得たバルニエ氏は、英国のEU離脱(ブレグジット)交渉でEU側の首席交渉官を務めている。母国フランスでは中道右派の共和党に所属。仏政界だけでなくEUでも閣僚に相当する欧州委員を2期務め、欧州債務危機では金融規制担当として銀行改革を主導した。ブレグジット交渉を巡る調整を通じて築いた加盟国とのパイプも太く、離脱に伴う「手切れ」の清算金の支払いなど英国から多くの譲歩を引き出した「タフ・ネゴシエーター」(手ごわい交渉人)として評価を固めている。

    ベステアー欧州委員=ロイター

     ベステアー氏はデンマークで経済相・内相を務めた後、ユンケル体制の欧州委員会で競争政策担当の欧州委員に就いた。欧州市場を席巻する米IT大手グーグルにEU競争法(独占禁止法)違反で巨額の制裁金を科し、欧州の租税回避地を使ったアップルやアマゾンなどグローバル企業の税逃れ対策にも次々と切り込み、現職の欧州委員の中でひときわ大きな存在感を放つ。

    ラガルド国際通貨基金専務理事=ロイター

     仏財務相も務めたラガルド氏は弁護士出身。国際通貨基金(IMF)で初の女性トップとしてギリシャ支援など困難な任務を手がけてきた。IMFの任期は21年夏まで残るものの、欧州中央銀行(ECB)総裁など別の重要ポストの候補にも名前が挙がる常連だ。前回14年の欧州委員長改選時にはドイツのメルケル首相の意中の人と報じられたが固持した。エレガントなファッションが雑誌で頻繁に取り上げられるなど一般の知名度も高い。

    1年後に控えた欧州議会選挙

     これから最終局面を迎えるブレグジット交渉を軟着陸に導く見通しが立てば、バルニエ氏待望論は勢いを増すだろう。しかしバルニエ氏がポスト・ユンケルの座を勝ち取るにはいくつか障害がある。

     その理由を説明する前に、3万2000人からなるEU行政執行機関のトップ、欧州委員長はいつ、どのように選ばれるのかに触れておきたい。

     ユンケル氏の後任選びは、来年5月下旬に予定される欧州議会選挙と結びついている。

     欧州議会(定数751議席)はEU域内に暮らす市民が構成員を直接選ぶことができる唯一の機関だ。加盟国の人口に比例して議席が割り当てられ、比例代表制を原則とするが、国ごとに運用のルールは異なる。

     例えば選挙権はオーストリアとマルタでは16歳以上、それ以外の国では18歳以上でEU加盟国の国籍を持つ人に与えられる。また自国以外の加盟国に暮らす有権者は、居住国の候補者に投票できる点も特徴といえる。19年3月の英国離脱から初めてとなる次回の選挙では、英国分の73議席の一部を人口比で議席が少ない加盟国に割り当てて「1票の格差」を是正し、定数を705議席に減らす見通しだ。

     欧州委員長の選出を巡っては、EU加盟国の政党が主張の近い他国の政党と組んで作る欧州議会の各会派が、予備選挙などで委員長の指名候補者を決めて選挙に臨む。その後、英国を除く全27加盟国の首脳からなる欧州理事会が「選挙の結果を考慮」して協議した委員長候補を欧州議会に提案、議会が多数決で選出する流れだ。

     前回14年から採用された欧州委員長の選出を巡る過程は、「筆頭候補」を意味するドイツ語にちなみ「シュピッツェンカンディダーテン」(Spitzenkandidaten)と呼ばれ、多言語で行われるEUの会議や記者会見でも独語のまま定着している。かつて欧州委員長は加盟国首脳が協議して決めていた。それに比べると有権者の民意を一定程度反映させられる仕組みだが、第1会派の指名候補が自動的に委員長に選出されない点がポイントといえる。前回はユンケル氏の任命に英国のキャメロン首相(当時)が強硬に反対し、その後の離脱に連なるしこりを残した。

    鍵はマクロン大統領

     バルニエ氏は前回14年にも仏共和党が所属する欧州議会の最大会派、欧州人民党(EPP)の指名候補に名乗りを上げたが、予備選挙でユンケル氏に敗れた経緯がある。EUトップへの野心が残っているとしても、在ブリュッセルの仏ジャーナリストや外交筋に見通しを聞く限り、その道のりは険しいようだ。

     一つはマクロン仏大統領の存在だ。最大野党・共和党出身のバルニエ氏をマクロン氏が当初から全面的に支持するとは考えにくい。マクロン氏率いる政党「共和国前進」は初めて迎える欧州議会選挙で、会派を組む相手をまだ探っている段階だ。第3会派で中道の欧州自由民主同盟(ALDE)と協力する可能性があるが、その場合は委員長候補にALDEのベステアー氏を推すとみられている。

     また昨年の仏大統領選で敗北した共和党は、タカ派の新党首の下で立て直しを図っており、中道寄りのバルニエ氏は指名候補として党内の支持を集めにくいとの事情もある。さらに現職のユンケル氏より高齢であるのも不利な点だ。英国が抜けた後の新しいEUの顔には若々しさも望まれるのではないか。

     最新の世論調査は、19年の欧州議会選挙ではEPPが最大会派を維持する可能性を示唆している。政治専門メディア「ポリティコ」欧州版は、バルニエ氏以外のEPP内の有力候補として、現職の欧州委員(成長・投資担当)であるカタイネン元フィンランド首相(46)や、同じくフィンランド前首相のストゥブ欧州投資銀行副総裁(50)ら一回り若い世代の名前を挙げている。

     欧州議会の各会派は秋から指名候補者選びを本格化させる。現時点では表立って欧州委員長への意欲を示す人物はまだ現れていない。しかし欧州委員長選びの後に続く欧州理事会常任議長(EU大統領)、外務・安全保障政策上級代表(EU外相)、欧州中央銀行総裁など他の重要人事もにらみ、加盟国の思惑が絡んだ駆け引きは水面下で始まっている。【八田浩輔】

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