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社説

幼児教育・保育の無償化 質量とも受け皿の拡充を

 幼児教育・保育の無償化について、厚生労働省の検討会が認可外の保育施設へも補助の対象を広げる案を固めた。幼い子どものいる家庭には朗報だが、課題も多い。

     無償化は、昨年の総選挙で安倍晋三首相が唐突に公約に掲げ、消費税増税時に借金の穴埋めに充てるはずの財源を回すことにしたものだ。

     当初は認可保育所や幼稚園、認定こども園だけ無償とする方針だったが、認可外施設の利用者の反対が強く、その後も検討が続けられた。制度設計が不十分なまま見切り発車したことが混乱を生んだと言える。

     認可施設を希望しても入れず、やむを得ず認可外施設を利用している人は多い。病児保育や小規模保育施設を利用している人も増えている。子どもの特性や親の事情に合わせた多様な保育サービスの広がりを考えれば、認可外も無償化の対象とするのは当然である。

     ただ、親の所得に応じた負担軽減は現在も実施されている。保育サービスの利用者全員を無償にするのは、経済的に余裕のある人を優遇することに他ならない。

     保育所・保育士の不足も深刻だ。政府は待機児童の解消に努めてきたが、それによって潜在的なニーズを掘り起こす結果をもたらした。無償化で新たな利用者が増え、さらに受け皿不足を招く可能性もある。

     内閣府の調査では2017年に保育施設などで起きた全治30日以上の子どもの事故は880件で、前年比1・5倍にも上った。無償化より保育施設の安全や質の改善を求める人は多い。政策の優先順位は間違っていないだろうか。

     それでも安倍政権が幼児教育無償化を重視するのは、将来を担う世代の教育を充実させ、誰もがチャンスを得られる「1億総活躍社会」を実現しようと考えているからだ。

     幼児教育を十分に受けた子どもは将来、大学進学率や所得が高くなるという海外の研究結果もある。

     しかし、その前提として乳幼児期に親や周囲の人から愛情を受け、子どもの中に「愛着形成」を図ることが必要だ。子どもの自我が育つための土台を固めなければ、幼児教育は根付かないだろう。無償化とともに、子育て世帯の貧困や孤立の改善にも取り組まなければならない。

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