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舞台をゆく

香川県・小豆島(映画「魔女の宅急便」) 誰もがキキになれる丘

ロケセットだった「雑貨ハーブカフェ コリコ」の前で、ほうきにまたがって記念撮影を楽しむ観光客ら=香川県小豆島町で、倉田陶子撮影

 児童文学作家の角野栄子さんにより1985年に誕生した「魔女の宅急便」は世界的ロングセラーとなり、89年に宮崎駿監督が手がけたアニメ映画も大ヒットを記録した。一人前の魔女を目指す少女・キキがさまざまな人々との出会いを通して成長していく物語は爽やかな感動を与えてくれる。今春、国際アンデルセン賞を受賞した角野さんの代表作を実写映画化した「魔女の宅急便」(2014年全国公開)のロケ地、香川県・小豆島でキキの足跡をたどった。【倉田陶子】

     神戸港を朝早く出発しておよそ3時間、ジャンボフェリーの甲板に立つと、青い海の向こうに濃い緑に覆われた小豆島が見えてきた。

     魔女の血を引く13歳のキキは、黒猫のジジとほうきに乗って修業の旅に出る。たどりついた海辺の町コリコで、パン屋の「おソノ」や空飛ぶことを夢見ている少年「とんぼ」らユニークな住人と出会ったキキは、お届け物屋を始める。

     小豆島はオリーブの国内栽培発祥の地。島の南部にある「道の駅小豆島オリーブ公園」には、無数のつぼみをつけたオリーブの木が並んでいた。その一角に建つ「雑貨ハーブカフェコリコ」は、おソノが営む「グーチョキパン屋」として登場したセットを移築したものだ。店先ではほうきを手にした観光客が記念撮影を楽しんでいる。ほうきの無料貸し出しをする公園の営業推進部、佐伯真吾係長(41)は「ギリシャ風車のある丘がお薦めの撮影スポット」と教えてくれた。ゴールデンウイークや夏休みには、ほうきの順番待ちができるほど。キキになりきり、真っ黒なワンピースに赤いリボンを巻いたスタイルでほうきにまたがってジャンプし、空を飛んでいるように見える写真の撮影に挑戦する人が後を絶たないという。

    八角形の壁が特徴的な「ダッチカフェ キューピッド アンド コットン」。現在羽根は取り外されている=香川県小豆島町で、倉田陶子撮影

     公園から山道を上った高台にあるオランダ風カフェ「Dutch Caf〓 Cupid & Cotton」(ダッチカフェキューピッドアンドコットン)は、キキが暮らす風車小屋として映画に登場する。オーナーの根本美緒さん(56)は「毎日、撮影を見学できて本当に楽しかった」とロケを振り返る。カフェは、11年に亡くなった夫、ミシェル・ハベツさんが、故郷・オランダのシンボルでもある風車小屋を模して自力で設計し、土台から建てた。風車の羽根を動かすまでには至らなかったが、映画の中では大きな羽根がクルクルと回っている。「映画が夫の夢をかなえてくれたようで感動した。彼が精魂込めて建てた建物が映画という形で永遠に残ることもうれしい」と話す。

    旧戸形小学校から望む穏やかな瀬戸内海=香川県土庄町で、倉田陶子撮影

     「ぼーっとするのにちょうどいい」と根本さんに薦められた旧戸形小学校は、とんぼがキキに自転車の乗り方を教えるシーンで登場する。学校の目の前には砂浜と穏やかな瀬戸内海が広がり、かつて子どもたちの歓声が響いていたであろう校庭も、今は波の音が聞こえるだけだ。

     ちょっとしたことから「呪いを届ける魔女」と誤解されたキキは、とんぼと協力して困難に立ち向かい、町の人たちの信頼を取り戻す。成長したキキの「この島に来てよかった」という言葉が、波間から聞こえた気がした。=次回は29日


    香川・小豆島

    アクセス

     小豆島へは、JR三ノ宮駅から徒歩約20分の神戸港でジャンボフェリーに乗り約3時間。JR高松駅から徒歩10分の高松港で高速艇に乗ると30~45分など、複数のルートがある。

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